広東料理・粤菜客家酿豆腐

客家醸豆腐レシピ本場客家の配合を徹底解説

土鍋の煮汁に並ぶ、肉だねを詰めて焼いた四角い豆腐と青ねぎのイラスト
地域
客家菜
分量
2人分
公開

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「客家醸豆腐(カージャー・ニャンドウフ)」は、豆腐に肉だねを詰めて焼き煮にした客家料理の代表格です。この料理の成り立ちには、中国史上有数の大規模な民族移動が関わっています。

元末から明初にかけて、戦乱を逃れた中原(黄河流域)の人々が安・蘇・浙・贛・閩などの地域を経て、広東省梅州の五華県一帯へと南下しました。これが客家人のルーツのひとつです。北方では小麦粉で作る餃子が日常食でしたが、稲作地帯である南方では小麦の栽培が難しく、餃子の皮となる小麦粉が手に入りにくい環境でした。そこで移住した客家人は、慣れ親しんだ餃子の作り方をもとに、豚肉や魚のすり身を刻んで詰め物を作り、小麦粉の皮の代わりに豆腐を使うという知恵を編み出したのです。

客家語における「醸(酿)」という字は、日本語の「醸造」のような発酵を意味するのではなく「包む・混ぜ合わせる」という意味を持ちます。豆腐に穴を開けて具材を詰め、ひとつに仕上げるこの調理法から、客家料理には「醸苦瓜(にがうり)」「醸茄子」など「無菜不醸(どんな野菜も詰め物にする)」と言われるほど多彩な派生料理が生まれました。歴史的にも、清代にはすでに「長楽醸豆腐」を讃える諺が残るほどの名物となり、太平天国の指導者・洪秀全も好んで食べたと伝えられています。異郷に移り住んだ人々の望郷の味であり、家族の団らんを象徴する一皿として、今も客家の食卓に欠かせません。ここから先は、由来資料をもとに割り出した本場の配合と手順、そして日本版との違いを解説します。

本場式の配合

材料(2人分)

  • 木綿豆腐(絹ごしより硬めのもの)4cm角×8個に切り分ける300g
  • 豚ひき肉120g
  • 白身魚のすり身入手困難な場合はちくわやはんぺんで代用可50g
  • 干し椎茸水で戻してみじん切り2枚
  • 干しえびぬるま湯で戻してみじん切り10g
  • 長ねぎ(みじん切り)大さじ2(20g)
  • しょうが(みじん切り)小さじ1(5g)
  • 生抽大さじ1(15ml)
  • 片栗粉(肉だね用)大さじ1(8g)
  • ごま油小さじ1(5ml)
  • 塩(肉だね用)小さじ1/4(1.5g)
  • サラダ油(焼き用)大さじ2(30ml)
  • 鶏がらスープ200ml
  • 老抽小さじ1(5ml)
  • 砂糖小さじ1/2(2g)
  • 片栗粉(とろみ用)水小さじ2で溶く小さじ1(3g)

作り方

  1. 豆腐は4cm角に切り分け、それぞれ中央をスプーンで深さ2cmほどくり抜き、くぼみを作る。くり抜いた豆腐は崩して肉だねに混ぜてもよい。

  2. ボウルに豚ひき肉・白身魚のすり身・戻した干し椎茸・干しえび・長ねぎ・しょうが・生抽・片栗粉大さじ1・ごま油・塩を入れ、粘りが出るまでよく混ぜて肉だねを作る。

  3. 豆腐のくぼみに肉だねをしっかりと詰め、表面をスプーンで平らにならす。

  4. フライパンにサラダ油大さじ2を熱し、肉だねの面を下にして中火で3分焼く。焼き色がついたら裏返してさらに2分焼く(「先煎」=先に焼き色をつける工程)。

  5. 鶏がらスープ200mlを加え、老抽・砂糖を入れてふたをし、弱火で10分煮込む(「後煮」=焼いてから煮込む工程)。

  6. 水溶き片栗粉を回し入れてとろみをつけ、全体に煮汁を絡めたら火を止めて器に盛る。

本場と日本の違い

  • 本場は「先煎後煮(先に焼き色をつけてから煮込む)」という二段階の調理法を厳格に守るが、日本の簡易レシピでは煮るだけ・蒸すだけに簡略化されることが多い。
  • 本場の肉だねは豚肉と魚のすり身を合わせるのが伝統的だが、日本では入手しやすい豚ひき肉のみで作られることが多い。
  • 客家菜自体が日本の中華料理店ではほとんど扱われておらず、「醸豆腐」という料理名や食べ方自体の知名度が低い。
  • 本場では大家族の食卓を彩る祝い料理・望郷の味としての文化的な意味合いが強いが、日本ではその歴史的背景が伝わりにくく、単なる「肉詰め豆腐」として紹介されがちである。

参考ページ(写真)

下厨房には手順写真つきの専用レシピページを確認できなかったため、由来と調理法(先煎後煮)を紹介する特集記事を参考ページとして掲載します。 https://m.thepaper.cn/newsDetail_forward_9542494

代用可能な食材

  • 白身魚のすり身:入手困難な場合はちくわやはんぺんのすり身で代用可
  • 干しえび:無ければ桜えびで代用可
  • 木綿豆腐:絹ごし豆腐でも作れるが崩れやすいため、厚揚げ豆腐で代用すると扱いやすい

保存・アレンジのコツ

  • 冷蔵で2日ほど保存可能。食べる際は煮汁ごと温め直す
  • 肉だねを詰めた状態で冷凍保存も可能。凍ったまま煮込んで調理できる
  • スープを多めにして具材を足せば「醸豆腐煲(鍋仕立て)」としてもアレンジできる

出典

本文は上記の情報源を参考に、独自に再構成・翻訳したものです。