北京天津料理・京津菜芥末墩

芥末墩(北京式白菜のからし漬け)レシピ本場北京の配合を徹底解説

皿に立てた輪切りの白菜に、黄色いからしのたれがとろりとかかった芥末墩のイラスト
地域
京津(北京)
分量
作りやすい分量・4〜6人分
公開

この記事はAmazonアソシエイトのリンクを含みます。

ひと口かじった瞬間、鼻の奥にツンと抜ける辛さで思わず涙が出る。それなのに箸が止まらない――北京の冬の小皿料理「芥末墩(ジエモードゥン)」は、白菜をからしと酢と砂糖で漬けただけの、驚くほど素朴な一品だ。

「墩儿」は北京語で「ずんぐりした塊」を指す言葉で、白菜の根元に近い部分を高さ5cmほどの輪切りにし、ころんと立たせて盛りつける姿からこの名がついたとされる。一方で、本来の名は「芥末堆儿(からしで和えた白菜の山)」で、北京語の儿化音で「墩儿」も「堆儿」も同じ「ドゥル」に聞こえるため取り違えられた、とする地元の記事もあり、名前には諸説ある。

芥末墩が欠かせないのは旧正月の食卓だ。かつての北京の年越しの宴は「四四見底」と呼ばれる決まった品数で整えられ、芥末墩は冷菜の筆頭に置かれたという。肉料理が続く正月に、口をさっぱりさせ、酔い覚ましや脂っこさを和らげる役を担ってきた。

作家・老舍の家の芥末墩は特に有名で、夫人の胡絜青が結婚の際に老舍から求められ、三度の失敗を経て家の名物に仕上げたと伝えられる。作家の汪曾祺が「舒家(老舍の本姓)の芥末墩儿が全北京で一番うまい」と評した話も残る。

ここから先は、中国語の複数レシピを比較して割り出した、家庭で作れる本場の配合と手順を公開する。

本場の配合

材料(作りやすい分量・4〜6人分)

白菜

  • 白菜根元に近い下半分。1/4株を横に使う500g
  • 熱湯(白菜にかける用)1500ml

芥末糊(からしペースト)

  • からし粉和からし粉または中国の芥末粉50g
  • 湯(60℃前後)50ml

漬け汁

  • 米酢70ml
  • 砂糖35g
  • 塩6g(小さじ1程度)

作り方

  1. 芥末糊を作る。器にからし粉を入れ、60℃前後の湯50mlを加えて一方向にだまがなくなるまで混ぜる。ラップをして20分おき、さらに器ごと60℃前後の湯に浸けて2時間おく(湯が冷めたら差し湯をする)。この「発芥末」で辛みと香りがぐっと立ち、えぐみが抜ける。

  2. 白菜は外側の固い葉と、上部の葉先(青い部分)を切り落とし、根元に近い部分を横に高さ5cmの輪切りにする。ばらけないよう、1個ずつたこ糸で胴回りを1周縛る。

  3. 白菜を縛ったままざるに並べ、沸かした熱湯1500mlを3回に分けて上から回しかける。表面の色がやや透き通れば十分で、ゆでて柔らかくしないこと。そのまま粗熱を取り、水気をよく切る。

  4. 1の芥末糊に砂糖35gの半量・米酢70mlの半量・塩6gを加えてよく混ぜる。

  5. 水気と油気のない清潔な保存容器に白菜を立てて並べ、ゴム手袋をした手で4の芥末糊を白菜の上下・外側・葉の間にまんべんなく塗る。

  6. 残りの砂糖を白菜の上に散らし、残りの米酢を容器の縁から回し入れる。

  7. ふたをしっかり閉めて冷蔵庫で2〜3日漬ける。からしの香りが白菜の芯まで回ればでき上がり。

  8. 食べる直前に糸を外して1個ずつ器に立てて盛り、容器の漬け汁を大さじ1ずつかける。

本場と日本の違い

  • 「漬物」ではなく「年菜の冷菜」:日本のからし漬けや白菜漬けはご飯のお供だが、芥末墩は正月の宴で肉料理の合間に口をさっぱりさせる前菜・酒肴の位置づけ。北京では大白菜が出回る真冬から春節の時期にかけて作って食べるものとされる。
  • 甘酸っぱさがはっきりしている:塩味主体の日本の漬物と違い、砂糖と米酢をたっぷり使い、「辛い・甘い・酸っぱい」が一度に来る味。中国のレシピでも砂糖の量には白菜の重さの5%前後から20%を超えるものまで大きな幅があり、本記事はその中間を取っている。
  • からしを「発酵させる」工程:日本ではからし粉を水で練ってすぐ使うが、北京では温かい湯で練ったからしを保温しながら数時間寝かせる「発芥末」をしてから使う。これで辛みが強く立ち、鼻に抜ける香りが白菜に移る。
  • 形を保つための糸:白菜を輪切りのまま立たせて盛るため、漬け込む前に糸で縛る。見た目のずんぐりした「墩」の形が料理名そのものなので、崩さずに盛るのが本場流。

参考ページ(写真)

美食天下の「老北京芥末墩儿」レシピページに、白菜に熱湯をかける工程から巻いて立てて盛る仕上げまでの手順写真が掲載されています。

(https://home.meishichina.com/recipe-262910.html)

代用可能な食材

  • からし粉:和からし粉がそのまま使える。チューブの練りからしで作る場合は、練りからし60gに米酢の半量を混ぜてのばし、1の保温工程は省く(辛みと香りは粉から作るより弱い)
  • 米酢:穀物酢でも作れるが、酸味の角が立つので砂糖を5g増やす
  • 白菜の下半分:葉の多い上部は食感がくたっとなるので不向き。白菜の軸(白い部分)を5cm長さに切り、3〜4枚ずつ重ねて巻き、糸で縛って使ってもよい
  • たこ糸:なければ白菜の外葉を熱湯でしんなりさせ、帯状に裂いて巻いて留める

保存・アレンジのコツ

  • 漬け汁ごと冷蔵で1週間ほど保存できる。日が経つほど辛みが穏やかになり、酸味がなじむ
  • 取り出すときは必ず清潔な乾いた箸を使う(水や油が入ると傷みやすい)
  • 残った漬け汁は、ゆでた豚肉やしゃぶしゃぶ用の豚肉のたれ、春雨サラダのドレッシングに流用できる
  • 辛みを抑えたい場合は、からし粉を35gに減らし、代わりに漬け込み期間を1日延ばすと角が取れる

出典

本文は上記の情報源を参考に、独自に再構成・翻訳したものです。