アメリカ中華General Tso's Chicken
左宗棠鶏(ジェネラル・ツォー・チキン)レシピアメリカ中華の配合を徹底解説

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アメリカの中華料理店のメニューでおなじみなのが「General Tso's Chicken(ジェネラル・ツォー・チキン)」です。揚げた鶏もも肉に甘酸っぱくピリ辛のソースを絡め、ゆでたブロッコリーを添える、アメリカの「中華」を象徴する一皿です。
名前の「ツォー将軍」とは、清朝末期の湖南出身の政治家・軍人である左宗棠(1812〜1885年)のこと。ただし左宗棠本人とこの料理に直接の関係はなく、名前は後から付けられたものです。考案したのは、湖南・長沙出身の料理人、彭長貴(Peng Chang-kuei)。1919年生まれの名料理人で、1949年に国民党とともに台湾へ渡りました。本人は1952年、台湾を訪れたアメリカ海軍のラドフォード提督をもてなす3日間の宴席のために考案したと語り、台湾の中央社や『料理.台灣』誌もこの説を伝えています。ただ、提督の訪問を1953年、宴席を1955年とする資料もあり、蒋経国のための即興料理だったという説もあって、誕生の経緯には諸説あります。
転機は1973年。彭長貴はニューヨークの国連本部近くに湖南料理店を開き、この料理をアメリカに紹介しました(前年に別の店が似た料理を出していたという主張もあります)。台湾の原型は砂糖を使わず、骨付き・皮付きの鶏とにんにく、醤油の香りが主役の辛い料理でしたが、本人も認めているように、湖南出身ではない客のために甘く作り替えられ、全米に広まっていきます。1990年代に彭長貴が故郷の湖南に店を開いてこの料理を出したときには、地元の人から「甘すぎる」と受け入れられず、店はほどなく閉店したといいます。
ここから先は、英語の複数レシピを比較して割り出したアメリカ式の配合と手順を解説します。
アメリカ式の配合
材料(2人分)
鶏肉と衣
- 鶏もも肉(皮なし、3cm角に切る)400g
- 塩2g(小さじ1/3程度)
- 卵1個
- 片栗粉(コーンスターチでも可)50g
- 薄力粉20g
- 揚げ油800ml
ソース
香味野菜・炒め用
- サラダ油15ml
- 乾燥赤唐辛子(ホール)8本(2g)
- 生姜(みじん切り)6g
- にんにく(みじん切り)4片(12g)
仕上げ・添え
- 白ごま3g
- 青ねぎ(小口切り)10g
- ブロッコリー(小房に分ける)150g
- 水(ブロッコリーをゆでる用)1,000ml
作り方
鶏肉に塩2gをもみ込み、10分置く。溶き卵を加えてよく絡める。
片栗粉50gと薄力粉20gを混ぜてバットに広げ、鶏肉を1個ずつ転がしてしっかりまぶす。
ソースの材料(鶏がらスープ・香醋・紹興酒・生抽・老抽・砂糖・片栗粉)をボウルに合わせ、砂糖が溶けるまでよく混ぜておく。
鍋に水1,000mlを沸かしてブロッコリーを1分30秒ゆで、ざるに上げる。
揚げ油800mlを175℃に熱し、鶏肉を半量ずつ入れて5分、きつね色になるまで揚げて油を切る。
フライパン(または中華鍋)にサラダ油15mlを入れて中火で熱し、乾燥赤唐辛子・生姜・にんにくを30秒、唐辛子が焦げないように炒めて香りを出す。
3のソースをもう一度よく混ぜてから加え、混ぜながら1分煮立てる。へらで鍋底をなぞって筋が残るくらいのとろみになればよい。
揚げた鶏肉を加え、30秒手早く絡める。器に盛って白ごまと青ねぎを散らし、ブロッコリーを添える。
中国本土の原型との違い・アメリカならではの特徴
- 台湾の原型は「甘くない」:彭長貴が台湾で作っていた左宗棠鶏は、骨付き・皮付きの鶏を使い、醤油の風味と辛みが主役で砂糖は使わないとされます。アメリカ版の甘酸っぱいソースは、ニューヨークに渡ってからアメリカ人の好みに合わせて生まれたものです。
- 湖南にはない「湖南料理」:左宗棠の名を冠していますが、湖南の伝統料理ではありません。1990年代に湖南で紹介されたときは「甘すぎる」と受け入れられなかったというエピソードが、この料理の立ち位置をよく表しています。
- 揚げ物+ブロッコリーのアメリカ中華スタイル:アメリカの店では皮なしのもも肉(ダークミート)をたっぷりの衣で揚げ、ゆでたブロッコリーを添えるのが定番。海鮮醤(ホイシンソース)や黒糖を使う店もあります。
- 日本の中華との違い:日本の「鶏の甘酢あん」や酢豚に近い見た目ですが、乾燥唐辛子を丸ごと油で炒めて辛みと香りを移す点、香醋の酸味と紹興酒のコクで甘さを引き締める点が異なります。
参考ページ(写真)
Omnivore's Cookbookの「General Tso's Chicken」レシピページに、衣づけから仕上げまでの工程写真が掲載されています。
(https://omnivorescookbook.com/general-tsos-chicken/)
代用可能な食材
- 香醋(鎮江香醋):黒酢20ml+米酢5mlで代用可
- 紹興酒:原文レシピではドライシェリーでも代用可とされている。日本酒でもよい
- 生抽・老抽:生抽は日本の醤油、老抽はたまり醤油5ml+醤油5mlで代用可(色と風味はやや変わる)
- 乾燥赤唐辛子:鷹の爪8本でよい。辛さを控えたいときは種を抜く
保存・アレンジのコツ
- 揚げた鶏肉は冷凍保存可能。オーブントースターで200℃・6分温め直してからソースに絡めるとカリッと感が戻る
- 揚げ油を使いたくない場合は、フライパンに油大さじ3(45ml)を熱し、鶏肉を片面2〜3分ずつ揚げ焼きにしてもよい
- 台湾の原型に近づけるなら、皮付きの鶏もも肉を使い、砂糖を10gに減らして生抽を5ml増やす
出典
- Wikipedia「General Tso's chicken」(由来・ニューヨークでの変化・台湾版との違い)
- Wikipedia「Peng Chang-kuei」(考案者・彭長貴の経歴)
- Omnivore's Cookbook「General Tso's Chicken」(レシピ(クロスチェック①・ソースの配合))
- Dinner at the Zoo「General Tso's Chicken」(レシピ(クロスチェック②・揚げ方))
- NPR「The Strange Tale of General Tso's Chicken」(由来・砂糖を使わない原型・湖南での反応)
- Bangor Daily News「Peng Chang-kuei, credited as creator of General Tso's chicken, dies at 97」(彭長貴の訃報・台湾の原型・宴席の年(1955年説))
- Saveur「The Inventor of General Tso's Chicken Dies at 98」(1952年考案・1973年ニューヨーク出店)
- 中央社(CNA)「左宗棠雞創始人 湘菜之神彭長貴辭世」(1952年ラドフォード提督の宴席での考案)
- 料理.台灣(中華飲食文化基金會)「彭長貴與彭園湘菜」(1952年の宴席・台湾版の作り方・1973年ニューヨーク)
本文は上記の情報源を参考に、独自に再構成・翻訳したものです。