アメリカ中華芙蓉蛋
エッグフーヤン(芙蓉蛋)レシピアメリカ中華の配合を徹底解説

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日本の「かに玉」や「天津飯」と同じルーツを持つ料理が、アメリカにもあります。それがエッグフーヤン(Egg Foo Young)。具入りの卵をたっぷりの油でふっくら揚げ焼きにし、茶色いグレービーソースをかけてご飯と食べる、20世紀のアメリカ中華を代表するメニューです。
名前の元になったのは広東料理の「芙蓉蛋(フーヨンダン)」。芙蓉はハスやフヨウの花を指し、鍋の中で卵がふわっと花開く様子になぞらえたとされます(花の解釈には諸説あり)。料理史ブログ「The Passionate Foodie」の調査によれば、アメリカでは1860年代のサンフランシスコの新聞に「Foo Young」の名が登場し、1898年には「肉と野菜入りのすばらしいオムレツ」と紹介されています。
面白いのはソースの歴史です。初期のレシピにはグレービーがなく、1920年代ごろから茶色いソース、いわゆる"チャイニーズ・グレービー"をかけるスタイルが広まったといいます。オレゴン公共放送(OPB)は、アメリカ版はフライパン焼きではなく揚げるため、卵の乾きを補う意味でソースが加えられたと解説しています。
ちなみに、本サイトの「天津飯」の記事でも触れたとおり、天津飯のルーツとされるのも広東料理の芙蓉蟹(芙蓉蛋)。同じ芙蓉蛋が、日本では甘酢あんのかに玉に、アメリカではグレービーのエッグフーヤンに育ったわけです。
ここから先は、英語の複数レシピを比較して割り出した、アメリカ式の配合と手順を解説します。
アメリカ式の配合
材料(2人分・4枚)
えびの下味
- むきえび1cm幅に切る100g
- 片栗粉小さじ1(3g)
- サラダ油小さじ1(5ml)
- オイスターソース小さじ1(6g)
卵生地
- 卵4個(200g)
- 緑豆もやし100g
- 玉ねぎ(薄切り)1/3個(60g)
- 青ねぎ(小口切り)1本(10g)
- 生抽小さじ1(5ml)
- 塩1.5g(小さじ1/4)
- ごま油小さじ1/4(1ml)
- 片栗粉小さじ1/2(1.5g)
- 揚げ油400ml
グレービー
作り方
むきえびに片栗粉小さじ1・サラダ油小さじ1・オイスターソース小さじ1をもみ込み、15分置く。フライパンで中火1分ほど炒め、8割ほど火を通して取り出す。
グレービー:小鍋にサラダ油大さじ1を中火で熱し、薄力粉・ターメリック・パプリカパウダーを加えて15〜20秒泡立て器で混ぜる。にんにくを加えて30秒炒め、鶏ガラスープ250mlを少しずつ加えてだまにならないように混ぜる。
煮立ったらオイスターソース・生抽小さじ2・老抽・ごま油・白こしょうを加え、水溶き片栗粉を少しずつ加えて、スプーンの背にからむくらいのとろみがついたらごく弱火で保温しておく。
卵生地:ボウルに卵を溶き、生抽小さじ1・塩1.5g・ごま油・片栗粉小さじ1/2を混ぜる。1のえび・もやし・玉ねぎ・青ねぎを加え、おたまで底から返すようにさっくり混ぜる(混ぜすぎない)。
小さめの深型フライパンに揚げ油400mlを入れて160〜170℃に熱し、4の生地をおたま1杯分(約1/4量)ずつ静かに流し入れる。
40秒ほど揚げたら、おたまで上から熱い油をかけて表面をふくらませる。底がきつね色になったら裏返し、さらに1分揚げて網に上げる。残りも同様に計4枚揚げる。
皿にご飯を盛り、エッグフーヤンを2枚ずつのせて、熱いグレービーをたっぷりかける。
本場と日本の違い
- 広東の芙蓉蛋はソースなし・焼き調理が基本:芙蓉蛋はフライパンで焼く卵焼きで、グレービーはかけない。アメリカ版は「たっぷりの油で揚げてふくらませる→茶色いグレービーをかける」という二段構えに変化した。
- 日本のかに玉との違い:かに玉はかに(またはかにかま)と卵をやわらかく焼き、甘酢あん(または塩味・醤油味のあん)をかけるのが一般的。エッグフーヤンは具がもやし・玉ねぎ中心で、えび・叉焼・鶏肉などを使い、ソースは甘くない醤油・オイスターソースのグレービー。小麦粉を炒めてから伸ばすソースは西洋のグレービーに近い作り方。
- 天津飯とは"ご飯との距離感"が違う:天津飯は卵をご飯にのせてあんをかける丼スタイル。エッグフーヤンも店ではご飯と一緒に出るが、小ぶりのパテを数枚重ねてグレービーをかける"おかず"の位置づけ。
- セントルイスの"エッグフーヤン・サンド":ミズーリ州セントルイスには、エッグフーヤンのパテをマヨネーズ・ピクルスと一緒に白い食パンではさむ「セントポール・サンドイッチ」というご当地料理まである。
参考ページ(写真)
The Woks of Lifeのエッグフーヤンのレシピページに、揚げ方の手順写真と仕上がりの写真が掲載されています。
(https://thewoksoflife.com/egg-foo-young/)
代用可能な食材
- むきえび:叉焼(チャーシュー)100gや鶏もも肉、かに缶でも作れる(加熱済みの具は1の工程を省く)
- ターメリック・パプリカパウダー:色づけ用なので省いてもよい(グレービーの色が少し淡くなる)
- 老抽:なければ省いてよい
- 揚げ焼きが面倒な場合:フライパンにサラダ油大さじ1を熱し、1枚ずつ中火で片面2〜3分ずつ焼いてもよい(ふくらみは控えめになる)
保存・アレンジのコツ
- グレービーは冷蔵で3日保存可能。温め直すときは水大さじ1を足してのばす
- 焼いたパテは冷蔵で翌日まで。オーブントースターで温め直すと表面が再びカリッとする
- マッシュルーム・セロリ・たけのこの細切りを加えると、アメリカの古い中華料理店風の具だくさんになる
出典
- Wikipedia「Egg foo young」
- The Passionate Foodie「An Early History of Egg Foo Young」
- OPB「Superabundant recipe: Egg foo young's surprising Oregon connection」
- The Woks of Life「Egg Foo Young」
- CopyKat Recipes「Easy Egg Foo Young and Gravy」
本文は上記の情報源を参考に、独自に再構成・翻訳したものです。