アメリカ中華Chop Suey
チャプスイ(アメリカ中華)レシピアメリカ中華の配合を徹底解説

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1920年代のアメリカで、チャプスイはホットドッグやアップルパイと並ぶほどの人気料理だった——スミソニアン誌はそう紹介しています。肉と野菜を強火で炒め、とろみのあるたれでまとめてご飯にかける、アメリカ中華の"元祖"とも言える一皿です。
名前の由来は広東語の「雑砕(チャプソイ)」で、「こまごまとした寄せ集め」という意味。もともとは内臓などを炒め煮にした料理を指したとされます。起源については諸説あり、有名なのは「1896年に訪米した清の重臣・李鴻章のために料理人が即興で作った」という伝説。ただし歴史研究者レンチウ・ユーは、李鴻章がチャプスイを食べたという記録は見つからず、訪米の話題に便乗した宣伝だったとみています。実際、1884年にはすでにニューヨークの新聞に「中国の国民食」として紹介されていました。人類学者E・N・アンダーソンは、広東省台山の郷土料理「雑砕」が源流だと指摘しています。
なお、本サイトで以前紹介した「アメリカン・チャプスイ」は、インドの中華料理店で生まれた揚げ麺にケチャップ味のあんをかける料理で、名前こそ似ていますが今回のアメリカ版チャプスイとはまったくの別物です。今回はその"本家"にあたる、アメリカの中華料理店のチャプスイを扱います。
ここから先は、英語の複数レシピを比較して割り出した、アメリカ式の配合と手順を解説します。
アメリカ式の配合
材料(2人分)
鶏肉と下味
合わせだれ
野菜・仕上げ
- サラダ油大さじ2(30ml)
- にんにく(粗みじん切り)1片(5g)
- マッシュルーム(薄切り)3個(45g)
- にんじん(薄い短冊切り)30g
- セロリ(斜め薄切り)60g
- チンゲン菜(2×5cmに切る)1株(100g)
- 紹興酒大さじ1/2(7ml)
- もやし(緑豆もやし)80g
- さやえんどう(筋を取る)50g
- 水溶き片栗粉片栗粉小さじ2と1/2(7.5g)
+水大さじ1(15ml) - 温かいご飯300g
作り方
鶏肉に水大さじ2・オイスターソース小さじ2・紹興酒小さじ1を加え、水分がなくなるまでもみ込む。サラダ油小さじ1と片栗粉を加えて全体にからめる。
合わせだれの材料をすべて混ぜておく。
中華鍋(またはフライパン)を強火で煙が出るまで熱し、サラダ油大さじ1と1/3(20ml)を回し入れ、鶏肉を広げて入れる。数秒焼き付けてから15〜20秒炒め、表面の色が変わって8割ほど火が通ったら取り出す。
残りのサラダ油大さじ2/3(10ml)とにんにくを入れて10秒炒め、マッシュルーム・にんじん・セロリを加えて強火で20秒炒める。
チンゲン菜を加えて混ぜ、紹興酒大さじ1/2を鍋肌から回し入れる。
2の合わせだれを鍋肌から加えて煮立たせ、もやし・さやえんどう・3の鶏肉を戻し入れて30秒炒め合わせる。
強く煮立ったところに水溶き片栗粉を少しずつ回し入れ、10秒ほど混ぜてとろみをつける。
器に盛ったご飯の横(または上)にたっぷり盛りつける。
本場と日本の違い
- 中国の「雑砕」とは中身が違う:広東・台山の雑砕は内臓などの"寄せ集め"を炒め煮にした料理だったとされる。アメリカ版は鶏・豚・牛・えびなどの正肉ともやし・セロリ・キャベツ類を使い、とろみのたれでまとめてご飯に添える形に定着した。1903年に訪米した梁啓超は「現地の中国人は食べない」と書き残している。
- 日本の八宝菜・中華丼にいちばん近い:肉と野菜を炒めて片栗粉でとじる構成は、日本の八宝菜や中華丼とほぼ同じ発想。違いは、アメリカ版はセロリともやしがほぼ必須で、うずらの卵やいかなどの海鮮を入れず、オイスターソースと醤油の茶色いたれで仕上げる点。
- チャウメン(炒麺)との関係:同じ具をご飯ではなく焼きそばと合わせるとアメリカ式の「チャウメン」になる。
- インドの「アメリカン・チャプスイ」とは別物:以前紹介したインド中華のアメリカン・チャプスイは、揚げてカリカリにした麺にケチャップベースの甘酸っぱいあんをかける料理。アメリカ本国のチャプスイにはケチャップも揚げ麺も使わない。
参考ページ(写真)
The Woks of Lifeのチキン・チャプスイのレシピページに、手順写真と仕上がりの写真が掲載されています。
(https://thewoksoflife.com/chicken-chop-suey/)
代用可能な食材
- チンゲン菜:白菜やキャベツで代用可(アメリカの店ではキャベツ入りも多い)
- マッシュルーム:生しいたけやしめじで代用可
- 老抽:なければ省いてよい(色が薄めの仕上がりになる)
- 紹興酒:日本酒で代用可
- 鶏むね肉:豚肉・牛肉・むきえびに替えれば「ポーク/ビーフ/シュリンプ・チャプスイ」になる
保存・アレンジのコツ
- 野菜の食感が命なので作りたてが一番。残った場合は冷蔵で翌日までに食べきり、電子レンジで短めに温め直す
- 同じ具とたれで蒸し麺を焼きつけた焼きそばと合わせると、アメリカ式チャウメン風になる
- たけのこの水煮やヤングコーン、くわいを加えると、20世紀半ばのアメリカの中華料理店らしい具だくさんの仕上がりになる
出典
- Wikipedia「Chop suey」
- Smithsonian Magazine「Chop Suey: An American Classic」
- The Woks of Life「Chop Suey」
- Omnivore's Cookbook「Chicken Chop Suey」
本文は上記の情報源を参考に、独自に再構成・翻訳したものです。