家常菜・家庭の定番おかず番茄土豆炖牛腩
トマトとじゃがいものビーフ煮込み(番茄土豆燉牛腩、番茄土豆炖牛腩)レシピ本場中国家庭の配合を徹底解説

この記事はAmazonアソシエイトのリンクを含みます。
番茄土豆炖牛腩――日本語で言えば「トマトとじゃがいものビーフ煮込み」は、中華料理の中では実はかなりの新顔だ。主役のトマトが中国に足を踏み入れたのは、明代万暦年間(16世紀末〜17世紀初頭)のこと。宣教師や商人によって東南沿海部から伝わったが、当初は誰も食べようとしなかった。1621年の農書『群芳譜』には「番柿」として登場するものの、「棚に絡ませて眺めるのに最適」と紹介されるのみで、もっぱら観賞用の珍しい蔓草として扱われていたのだ。
トマトが食卓に上がるようになったのは、意外にも民国期(20世紀前半)に入ってから。新聞や書籍が栄養価や調理法を紹介し始め、沿海都市に登場した洋食レストランでトマトジュースの美味しさが知られると、庶民の間でも料理への応用が広まっていった。新中国成立後は大規模栽培が進み、中国は今や世界最大のトマト生産国。番茄炒蛋と並んで、番茄土豆炖牛腩のような「炖(とろ火でじっくり煮込む)」料理にもトマトが取り入れられ、わずか100年ほどで各地の家庭の食卓に定着してしまった。
特定の菜系(地方料理の系統)に属さない、まさに"全国区"の家常菜(家庭料理)というのがこの一皿の面白いところ。四川でも東北でも上海でも、家庭ごとにレシピが少しずつ違いながら親しまれている。西洋由来の食材と、中国伝統の煮込み技法という、生まれも育ちも違う両者がすっかり打ち解け合った結果生まれたのが、この一皿なのだ。ここから先は、下厨房・美食天下など複数の中国語レシピを比較して割り出した、家庭で再現できる本場の配合と手順を公開する。
本場式の配合
材料(2人分)
作り方
牛肉は3cm角に切り、冷水に30分ほど浸けて血抜きする(途中で1回水を替える)。
鍋に牛肉・長ねぎの青い部分・生姜半量(4g)・黄酒を入れ、たっぷりの冷水から強火にかける。沸騰後2〜3分加熱してアク(灰色の泡)をすくい取り、牛肉を取り出して流水で表面の汚れを洗い流す。
中華鍋または厚手の鍋に食用油を熱し、残りの生姜・にんにくを弱めの中火で香りが立つまで炒め、玉ねぎを加えてしんなりするまで炒める。
トマトを加え、崩れて水分が出るまで中火で3〜4分ほど炒め、酸味と甘みを引き出す。
湯通しした牛肉を戻し入れて油となじむまで炒め合わせ、生抽・老抽・氷砂糖・八角・シナモンスティック・ローリエを加えて全体を炒め合わせる。
水600mlを注いで強火で沸騰させ、アクを取ったら蓋をして弱火で1時間煮込む。
じゃがいもと塩11gを加え、さらに30〜40分、牛肉とじゃがいもが柔らかくなるまで煮込む(水分が減りすぎたら適宜差し水する)。
火を止める直前に白胡椒を振り入れ、器に盛って万能ねぎを散らして完成。
本場と日本の違い
- 日本の「肉じゃが」は醤油・みりん・砂糖の和風だしがベースだが、本場の番茄土豆炖牛腩は黄酒・八角・シナモンスティックなど中華のスパイスで香りを添え、老抽で照りと色を補うのが決め手。主役の赤みはあくまでトマト由来で、醤油の色を前面に出さない。
- トマトを最後に添えるのではなく、先に炒めて崩し、酸味と甘みをスープに溶け込ませてから牛肉と合わせる工程を踏むのが、複数の本場レシピに共通する最大のポイント。
- じゃがいもを煮込みの後半で加えるのも共通の工夫。早く入れすぎると煮崩れてスープが濁ってしまうため。
- そもそもトマト自体が中国に渡ったのはたった400年ほど前で、しかも最初の300年近くは「観賞用の珍しい蔓草」扱いだった。番茄土豆炖牛腩のような炖め物にトマトが使われるようになったのは、民国期以降のごく最近の話というのは意外な事実。
参考ページ(写真)
下厨房の「番茄土豆炖牛腩」レシピページに、牛肉の血抜き・湯通しからトマトを炒め崩す工程までの手順写真が掲載されています。 https://m.xiachufang.com/recipe/102756142/
代用可能な食材
- 牛肉(すね肉・バラ肉)→ 牛肉切り落とし肉や輸入牛すじ肉でも代用可(すじ肉の場合は煮込み時間をやや長めにする)
- 黄酒 → 日本酒で代用可
- 老抽 → 入手できない場合は生抽のみでも可(色の濃さは控えめになる)
- 八角・シナモンスティック・ローリエ → 入手困難な場合は五香粉小さじ1/4程度で代用可
保存・アレンジのコツ
- 冷蔵で2〜3日、冷凍で2週間ほど保存可能。一晩置くと味がなじんでより美味しくなる。
- ゆで卵やえのきだけを加えて煮込むアレンジも本場の家庭でよく見られる。
- ご飯にかけて「番茄土豆炖牛腩飯」風にしたり、煮汁を活かしてパスタソース代わりに使うのもおすすめ。
出典
本文は上記の情報源を参考に、独自に再構成・翻訳したものです。