家常菜・家庭の定番おかず地锅鸡

地鍋鶏レシピ本場江蘇・徐州の配合を徹底解説

縁に生地を貼った鉄鍋で鶏肉、じゃがいも、青唐辛子を煮込んだ地鍋鶏のイラスト
地域
家常菜(江蘇・徐州/山東)
分量
3〜4人分
公開

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鶏肉を煮込んでいる鍋の「内側の壁」に、小麦粉の生地をぺたぺたと貼り付けていく――。江蘇省徐州の名物、地鍋鶏(地锅鸡)の最大の見どころがこれだ。貼り付けた生地(餅子)は、下半分が煮汁を吸ってもっちり、鍋肌に接した面は香ばしく焼き上がる。中国では「饼借菜味、菜借饼香(餅は料理の味を借り、料理は餅の香りを借りる)」と表現され、おかずと主食をひとつの鍋で同時に作り上げる。

起源は、江蘇北部と山東南部の境にまたがる微山湖(びざんこ)の漁民の食事とされる。かつて船の上で暮らしていた漁民たちは、小さな土のかまどに鉄鍋をかけ、おかずを煮込みながら、鍋の縁に小麦粉の生地を貼り付けて主食も一緒に作っていた。この素朴な「地鍋」料理が、今では徐州を代表する名物として全国に広まっている。

以前本シリーズで紹介した新疆の「大盤鶏」も、鶏肉とじゃがいもを煮込むという点ではよく似ている。しかし大盤鶏は、別にゆでた幅広の手延べ麺(皮帯麺)を最後に皿で煮汁と絡めるのに対し、地鍋鶏は生地を同じ鍋の壁に貼り付けて一緒に火を通すのが決定的な違いだ。味の方向も、大盤鶏が唐辛子と花椒の辛さを効かせるのに対し、地鍋鶏は甜面醤や豆瓣醤による「醤(みそ)の香り」が主役になる。

ここから先は、中国語の複数レシピを比較して割り出した本場の配合と、生地を鍋に貼るコツを公開する。

本場の配合

材料(3〜4人分)

  • 鶏もも肉(骨付き・ぶつ切り)1000g
  • 下茹で用の水1500ml
  • じゃがいも(乱切り)200g
  • 青唐辛子またはピーマン(乱切り)80g
  • パクチー(ざく切り)10g
  • サラダ油大さじ2(30ml)
  • 氷砂糖10g
  • 長ねぎ(ぶつ切り)20g
  • 生姜(薄切り)15g
  • にんにく(丸ごと)20g
  • 乾燥赤唐辛子5本(3g)
  • 八角2個
  • 桂皮1片(3g)
  • 花椒2g
  • 豆瓣醤30g
  • 甜面醤20g
  • 料酒大さじ1(15ml)
  • 生抽20ml
  • 老抽10ml
  • オイスターソース10g
  • 塩3g(小さじ1/2)
  • 水(煮込み用)800ml

餅子(鍋に貼る生地)

  • 中力粉200g
  • 塩2g
  • 水110ml

作り方

  1. 餅子の生地を作る:ボウルに中力粉200gと塩2gを入れ、水110mlを少しずつ加えながら菜箸でそぼろ状に混ぜる。手でこねてなめらかにまとめ、ラップをして20分休ませる。

  2. 鍋に水1500mlを沸かし、鶏肉を入れて3分下茹でする。アクが出たらざるにあげ、流水で洗って水気を切る。

  3. 口の広い深めの鍋(中華鍋など)にサラダ油30mlと氷砂糖10gを入れて弱火にかけ、砂糖が溶けて薄茶色になったら鶏肉を加えて中火で5分炒める。

  4. 長ねぎ・生姜・にんにく・乾燥赤唐辛子・八角・桂皮・花椒を加えて香りを出し、豆瓣醤30g・甜面醤20gを加えて油が赤く色づくまで炒める。

  5. 料酒15ml・生抽20ml・老抽10ml・オイスターソース10g・塩3gを加えて全体に絡め、水800mlを注ぐ。強火で煮立てたら蓋をし、中火〜弱火で20分煮る。

  6. じゃがいもを加え、さらに蓋をして10分煮る。

  7. 1の生地を8等分し、手のひらで押しつぶして長さ10cmほどの楕円形にのばす。煮汁の表面より少し上の鍋肌に、生地の下半分が煮汁に浸かる位置でしっかり押し付けて貼り付けていく。

  8. 蓋をして弱めの中火で15分煮込む。生地がふくらんで、鍋肌側に焼き色がつき、煮汁にとろみが出てきたら、生地をはがして取り出す。

  9. 青唐辛子(またはピーマン)を加えて強火で2分ほど煮汁を煮詰め、パクチーを散らす。鍋ごと食卓に出し、餅子を添えて、煮汁をつけながら食べる。

本場と日本の違い

  • 「餅子」のバリエーション:今回は小麦粉の生地を使ったが、本場ではとうもろこし粉・粟粉・大豆粉を混ぜた雑穀の生地(玉米面:小米面:黄豆面=2:1:0.5の配合例もある)を熱湯でこねて貼るレシピもある。発酵させた生地(発面餅)を貼るレシピもあり、生地は家や店によってさまざま。
  • 鍋は「口が広く深い」ものを:もともとは土のかまどにかけた鉄鍋で作る料理。家庭では、煮汁の上に生地を貼るスペースが取れる口の広い中華鍋や深型フライパンで十分再現できる。
  • 大盤鶏との違い:新疆の大盤鶏は別ゆでの皮帯麺を煮汁と絡め、唐辛子・花椒の辛さが前に出る。地鍋鶏は生地を同じ鍋で焼き煮にし、甜面醤・豆瓣醤の醤香が主役。
  • 日本の中華料理店ではまだほとんど見かけない。「鶏肉の醤油煮込み+パン」をひとつの鍋で作るという発想自体が、日本の家庭料理にはない魅力と言える。

参考ページ(写真)

美食天下の「地锅鸡」レシピページに、鶏肉を煮込んだ鍋の縁に生地を貼り付ける工程が写真付きで掲載されています。

(https://home.meishichina.com/recipe-44070.html)

代用可能な食材

  • 骨付き鶏もも肉:骨なしの鶏もも肉でも可(その場合は5の煮込み時間を15分に短縮)。本場では地鶏(土鶏)の丸鶏を使うことが多く、その場合は煮込みを60分に延ばす
  • 豆瓣醤:一般的な豆板醤で代用可
  • 甜面醤:味噌15g+砂糖5gで代用可
  • 桂皮:シナモンスティック3cmで代用可
  • 中力粉:薄力粉と強力粉を1:1で混ぜたもので代用可

保存・アレンジのコツ

  • 鶏肉と煮汁は冷蔵で3日保存可能。餅子は時間が経つと硬くなるので、翌日はフライパンで両面を焼き直すとよい
  • 徐州では地鍋鶏のほか、魚で作る地鍋魚や牛肉の地鍋など、同じ「地鍋」スタイルの料理が広がっている。家庭でも白身魚の切り身や厚揚げで同じように作れる
  • 煮汁が残ったら、ゆでたうどんを入れて煮絡めると、大盤鶏風のシメになる

出典

本文は上記の情報源を参考に、独自に再構成・翻訳したものです。