家常菜・家庭の定番おかず醋溜白菜

酢炒め白菜(醋溜白菜)レシピ本場中国北方の配合を徹底解説

そぎ切りの白菜が照りのある茶色のあんに絡む、青い縁の白い皿の酢炒め白菜のイラスト
地域
家常菜
分量
2人分
公開

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「白菜なんて、しょせん白菜じゃないか」——そう侮ってきた人ほど驚くのが、醋溜白菜という一皿の奥深さだ。実はこの大白菜(結球白菜)、もともとは南方の野菜だった。中国語では古くは「菘」と呼ばれ、南北朝の時代から長江下流域で親しまれていたが、北方で広く栽培されるようになったのは明清の時代に入ってから。18世紀の最盛期にようやく華北の生産量が南方を上回り、厳冬の北方で数百斤単位を貯蔵する「冬储(冬の買い置き)」の主役として、庶民の食卓を支える野菜になった。

清代には道光帝までもが白菜を讃える詩を残したというから、その存在感は宮廷にも及んでいた。そして冬の間じゅう食べ続けるための調理法として、炖(煮込み)・腌(漬け)と並んで発達したのが醋溜白菜だ。「熘(リウ)」とは、素材をさっと油で炒めてから水溶き片栗粉でとろみをつける、中華の基本技法のひとつ。ここに酢の香りを効かせたのが「醋溜」で、冷蔵庫のない時代でも作れるシンプルながら奥の深い一皿として、北方の家庭・食堂の定番になった。

もっと華やかな系譜もある。清末の西安では、名料理人・李芹溪が編み出したと伝わる「花打四门(ホアダースーメン)」という鍋振りの絶技で白菜の縁だけを香ばしく焦がし、金色に仕上げる「金边白菜」が生まれた。西太后が西安に逃れた際の御膳にも上ったと伝わる、いわば宮廷仕込みの醋溜白菜の親戚だ。家庭の残り野菜活用から宮廷料理まで、「酢の香りを効かせて白菜を炒める」という同じ発想が、形を変えて広く受け継がれている。ここから先は、中国語の複数レシピを比較して割り出した、家庭で再現できる本場の配合と、酢を加える絶妙なタイミングを公開する。

本場式の配合

材料(2人分)

  • 白菜(芯を中心に、葉も少量使用)350g
  • 生姜せん切り5g
  • にんにく薄切り2片分6g
  • 万能ねぎ斜め薄切り5g
  • 乾燥唐辛子種を除きちぎる2本
  • 陳醋大さじ1と1/3、2回に分けて使用20ml
  • 生抽10ml(小さじ2)
  • 砂糖5g(小さじ1強)
  • 片栗粉5g(小さじ1と2/3)
  • 水(片栗粉を溶く用)15ml(大さじ1)
  • 塩2g(小さじ1/3)
  • 食用油15ml(大さじ1)

作り方

  1. 白菜は芯(白菜帮)と葉(白菜叶)に分ける。芯は繊維を断つように斜め薄切りに、葉はひと口大にちぎるかざく切りにする。にんにくは薄切り、生姜はせん切り、万能ねぎは斜め切りにする。

  2. 小さめの器に片栗粉5gと水15mlを合わせ、水溶き片栗粉を作っておく。

  3. フライパンに食用油15mlを中火で熱し、乾燥唐辛子・にんにく・生姜を入れて20〜30秒ほど炒めて香りを立たせる。

  4. 白菜の芯を加えて強火にし、油をなじませながら1分ほど炒める。ここで陳醋の半量(10ml)を鍋肌に沿ってジュッと回し入れ、酢の香りを一気に立たせる。

  5. 白菜の葉を加えてさらに30秒ほど炒め合わせ、生抽10ml・砂糖5g・塩2gを加えて全体になじませる。

  6. 水溶き片栗粉をもう一度混ぜてから回し入れ、とろみがついたら残りの陳醋10mlを鍋肌から加える。万能ねぎを散らしてひと混ぜしたら火を止め、器に盛る。

本場と日本の違い

  • 日本の「酢の物」は加熱後に酢で和える、あるいは生野菜を酢に漬ける「冷たい料理」が主流だが、醋溜白菜は熱した油に酢を落として一瞬で香りを立たせる「熱々の酢炒め」。同じ「酢+野菜」でも、酢を使う温度帯がまったく違う。
  • 白菜を「芯(帮)」と「葉(叶)」に分けて切り方・投入タイミングを変えるのが本場の共通ルール。火の通りにくい芯を先に炒め、火が通りやすい葉は最後に30秒だけ加えることで、シャキシャキ感と柔らかさを両立させる。
  • 陳醋は1回で加えず、炒めている最中と仕上げの2段階に分けて入れるレシピが多い。最初の一投は油に落として香ばしさを引き出すため、最後の一投は加熱で飛んでしまった酢の爽やかな香りを補うためで、目的がまったく異なる。

参考ページ(写真)

下厨房の「醋溜白菜」レシピページに、陳醋を2回に分けて加える手順の写真が掲載されています。 https://m.xiachufang.com/recipe/100041928/

代用可能な食材

  • 陳醋(香醋)→穀物酢や米酢でも代用可(香りはやや軽くなるが、酸味はしっかり再現できる)
  • 白菜の芯が手に入りにくい場合→白菜全体を使ってもよいが、芯の部分を先に、葉の部分を後に炒める順番だけは守る
  • 万能ねぎ→長ねぎの青い部分で代用可

保存・アレンジのコツ

  • とろみがついた状態で時間が経つと水分が出やすいので、作りたてを食べきるのがおすすめ。保存する場合は冷蔵で翌日まで。
  • 仕上げにごま油を数滴垂らすと、より本場の食堂の風味に近づく。
  • 細切りにした赤唐辛子や人参を加えると彩りが良くなり、家庭でも「金边白菜」のような華やかさを演出できる。

出典

本文は上記の情報源を参考に、独自に再構成・翻訳したものです。