広東料理・粤菜蛋挞
蛋撻(エッグタルト)レシピ本場香港・マカオの配合を徹底解説

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コンビニスイーツとしてもすっかりおなじみの「エッグタルト」。実はこの黄色く輝くタルト、中世ヨーロッパのお菓子が海を渡り、ポルトガル・イギリス・中国の食文化が幾重にも重なって生まれた、意外と壮大な旅の末にたどり着いた一品です。
物語の起点は13世紀のポルトガル、リスボン郊外のジェロニモス修道院。当時の修道院では衣服の糊付けに卵白を大量に使っており、余った卵黄の使い道として考案されたのが「パステル・デ・ナタ」の原型だったと伝えられています。1834年に修道院が閉鎖されるとレシピは商業化され、やがてポルトガル式・イギリス式の蛋撻がそれぞれ海を渡り、ポルトガル領だったマカオと、イギリス領だった香港にたどり着きました。1989年にはイギリス人アンドリュー・ストウがマカオで洋菓子店を開き、独自にアレンジした蛋撻を売り出すと評判に。のちに妻マーガレットが開いた店でさらに色合いと甘さが改良され、現在「マカオ風エッグタルト」として知られるスタイルが確立していきました。
一方、広州の点心職人たちも独自にイギリス式のカスタードタルトを研究し、バターの代わりに安価なラードを使うことでコストを抑えた「粤式蛋撻」を編み出します。1927年、広州の茶楼「真光酒楼」がこの粤式蛋撻をいち早く売り出し、その後香港へと伝わって「港式蛋撻」として定着しました。今や香港の茶餐廳に欠かせない一皿であり、干蒸焼売・叉焼包・蝦餃と並ぶ飲茶の定番として親しまれています。ここから先は、中国語の複数レシピを比較して割り出した本場の配合と手順、そして日本版との違いを解説します。
本場式の配合
材料(2人分・タルト型6個分)
タルト生地
- 中力粉200g
- 薄力粉25g
- 無塩バター125g
- 砂糖55g
- 卵1個(約50g)
- バニラエッセンス2〜3滴
卵液
- 卵2個
- 砂糖70g
- 熱湯150ml
- 練乳75ml
- バニラエッセンス小さじ1/2
作り方
ボウルに中力粉・薄力粉・砂糖をふるい入れ、室温に戻したバターを加えて指先ですり合わせる。溶き卵とバニラエッセンスを加えてひとまとめにし、ラップに包んで冷蔵庫で30分休ませる。
生地を6等分してタルト型に敷き詰め、指で均等な厚さに押し広げる。フォークで底に数カ所穴をあける。
砂糖に熱湯150mlを加えて溶かし、粗熱を取ってから溶き卵・練乳・バニラエッセンスを加えて混ぜ、目の細かいザルで2〜3回濾して卵液を作る。
タルト生地に卵液を8分目まで流し入れる。
オーブンを200℃に予熱し、天板の下段で10〜15分焼く。
卵液が軽くふくらみ始めたら180℃に下げ、オーブンの扉を5〜7cmほど開けたままさらに10〜15分焼く。竹串を刺して自立すれば焼き上がり。
本場と日本の違い
- 生地の種類:本場香港式は「クッキー生地(曲奇皮)」でサクサクとした食感が主流。日本のコンビニやカフェで売られるものは冷凍パイシートを使ったパリパリ食感のポルトガル風が多い。
- 二段階焼成:本場は200℃前後の高温から180℃へ落とす二段階焼成で卵液の表面に軽い焦げ目をつける。日本では単一温度で焼き切るレシピが多く、焦げ目の有無に差が出る。
- 甘さと色合い:マカオ版はアンドリュー・ストウ夫妻の改良で色合いと甘さが調整された経緯があり、地域や店によって甘さの幅が広い。日本で売られるものは万人受けする甘さに均一化されている。
- 油脂の種類:広州式は元々バターの代わりにラードを使いコストを抑えていたが、日本ではほぼすべてバター生地で作られる。
- サイズ感:本場は一口〜二口サイズが主流。日本のベーカリーではやや大きめサイズで販売されることもある。
参考ページ(写真)
下厨房の「港式蛋挞」レシピページに、生地作りから焼成までの手順写真が掲載されています。 https://www.xiachufang.com/recipe/100194542/
代用可能な食材
- 練乳:入手困難な場合、同量の牛乳+砂糖大さじ1で代用可
- 中力粉:入手困難な場合、薄力粉と強力粉を1対1で混ぜたもので代用可
- 無塩バター:入手困難な場合、有塩バターで代用可(その場合レシピ中の塩は加えない)
保存・アレンジのコツ
- 焼き上がりは粗熱を取ってから型を外すと生地が割れにくい
- 冷凍保存が可能。食べる際はトースターで軽く温め直すとサクサク感が戻る
- 表面にココナッツファインを散らして焼くとマカオ風のアレンジになる
出典
- 腾讯新聞「城友圈|从小小蛋挞"品"透穗澳饮食交融」(起源・歴史(メインソース))
- 港式牛油蛋挞 百度百科(配合・焼成温度のクロスチェック)
- 下厨房「港式蛋挞」(配合・焼成温度のクロスチェック、参考写真ページ)
本文は上記の情報源を参考に、独自に再構成・翻訳したものです。