広東料理・粤菜豉油鸡

豉油鶏(広東式醤油鶏)レシピ本場広東の配合を徹底解説

木のまな板にのせた飴色の皮の豉油鶏の切り身と、たれ、青ねぎのイラスト
地域
粤菜(広東)
分量
2〜3人分
公開

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広東では醤油のことを「豉油(シーヤウ)」と呼ぶ。豉油鶏とは文字どおり「醤油の鶏」。ところがこの料理、広東の生まれでありながら、生みの親は広東の外から来た料理人だったと伝えられている。

広州の新聞「羊城晩報」の記事によれば、20世紀初め、広州のある酒家に勤めていた外省出身の料理人が、鶏を清水でゆでる広東伝統の「浸鶏」の方法を改め、清水の代わりに生抽(広東でいう豉油)で鶏を浸して煮る方法を編み出したという。南方網の記事も、1920年代の広州で江蘇料理店の料理人が江蘇の技法を広東の白切鶏と組み合わせ、「清水の代わりに醤油で浸す」ことで生まれたと紹介している。細部は伝える記事によって異なるが、「白切鶏の醤油版」として誕生した点は共通している。

その後、この料理は鶏の名産地として知られる広東・清遠で磨かれ、清遠の麻鶏(在来種の鶏)を使った「石潭豉油鶏」は、皮は金色、肉はなめらかで香ばしい塩気がある名物として知られるようになった。

本サイトで以前紹介した白切鶏(No.49)は、湯で静かに火を通して生姜ねぎだれで食べる、鶏そのものの味を楽しむ料理だった。豉油鶏は同じ「浸す」技法を使いながら、醤油・氷砂糖・香辛料の煮汁に浸して、皮を艶やかな飴色に染め上げる。ここから先は、中国語の複数レシピを比較して割り出した、家庭の鍋で作れる本場の配合と手順を公開する。

本場の配合

材料(2〜3人分)

  • 骨付き鶏もも肉2本(600g)
  • サラダ油大さじ1(15ml)
  • 生姜(薄切り)15g
  • 長ねぎ青い部分を含め10cm長さに切る1本(60g)
  • ごま油(仕上げ用)小さじ1(5ml)

豉油の煮汁

作り方

  1. 鶏もも肉は水気をよく拭き取り、室温に20分おいておく(冷たいままだと中まで火が通るのに時間がかかり、皮が煮崩れやすい)。

  2. 直径18〜20cmの深めの鍋にサラダ油を熱し、弱火で生姜と長ねぎを香りが立つまで1分炒める。

  3. 黄酒20mlを加えてひと煮立ちさせ、生抽100ml・老抽15ml・水200ml・氷砂糖・八角・桂皮・陳皮・ローリエを加えて中火で煮立て、氷砂糖を溶かす。

  4. 鶏もも肉を皮を下にして入れ、煮汁を回しかけながら中弱火で5分煮る。裏返してさらに5分、途中で何度もお玉で皮に煮汁をかけ、全体をむらなく色づける。

  5. もう一度皮を上にし、ふたをして火を止め、そのまま15分浸して余熱で火を通す(浸鶏)。いちばん厚い部分に竹串を刺し、澄んだ汁が出れば火が通っている。赤い汁が出る場合はふたをしたまま弱火で3分加熱し、さらに5分浸す。

  6. 鶏を取り出し、皮にごま油を薄く塗って艶を出す。粗熱が取れたら骨ごと2〜3cm幅に切り分ける。

  7. 鍋の煮汁から香辛料を取り除き、うち100mlを小鍋に取って中火で2分、軽く煮詰めてかけだれにする。鶏を器に盛り、たれを回しかける。

本場と日本の違い

  • 白切鶏(No.49)との違い:白切鶏は清水(または薄い塩水)に鶏を浸して火を通し、皮の白さと肉の甘みを味わう料理で、味は生姜ねぎだれで補う。豉油鶏は、醤油・氷砂糖・香辛料の煮汁そのものに浸すため、皮にしっかり味と色が入る。たれを付けずにそのまま食べられるのも白切鶏との大きな違い。
  • 日本の鶏の照り焼きや甘辛煮との違い:日本では醤油・みりん・砂糖を煮詰めてからめることが多い。豉油鶏は鶏を煮詰めた汁で「煮込む」のではなく、たっぷりの醤油の煮汁に「浸して」火を通すのが特徴。煮込みすぎずに余熱で仕上げることで、肉がパサつかずなめらかに仕上がる。
  • 氷砂糖と香辛料:広東式は砂糖ではなく氷砂糖を使い、澄んだ甘みと皮の照りを出す。八角・桂皮・陳皮はあくまで香りづけで、滷水ほど強く効かせないのが広東らしさ。
  • 丸鶏か部位か:本場では丸鶏を丸ごと浸すのが基本だが、家庭用の小鍋では骨付きもも肉が扱いやすい。骨付きにすることで、丸鶏に近いしっとり感が出る。

参考ページ(写真)

美食天下の「豉油鸡」レシピページに、鶏を煮汁で色づけていく工程と、切り分けた仕上がりの写真が掲載されています。

(https://home.meishichina.com/recipe-378817.html)

代用可能な食材

  • 骨付き鶏もも肉:丸鶏(1kg前後)で作る場合は、煮汁をすべて1.5倍にし、手順4を各10分、手順5の浸す時間を20分にする
  • 氷砂糖:上白糖またはざらめ25gで代用可(照りはやや弱くなる)
  • 老抽:なければ省き、生抽を大さじ1増やす(皮の色は薄くなる)
  • 陳皮・ローリエ:なければ省いてもよい(八角と桂皮だけでも広東らしい香りになる)
  • 黄酒:広東のレシピには、黄酒の代わりに玫瑰露酒(バラの花の香りをつけた中国の蒸留酒)を使うものもある。使う場合は20mlを大さじ1(15ml)に減らす

保存・アレンジのコツ

  • 煮汁は漉して冷蔵で1週間、冷凍で1ヶ月保存でき、次回は同量の生抽と氷砂糖を少し足して繰り返し使える(使うほどに鶏のうま味が移る)
  • 切り分けた鶏は冷蔵で2日保存可。冷たいままでも、蒸し器で5分温め直してもおいしい
  • 手羽中や手羽先を同じ煮汁で10分煮て15分浸せば、広東の定番おかず「豉油鶏翼(醤油手羽)」になる
  • 残った煮汁でゆで卵を一晩漬けると、豉油鶏の味が染みた味玉になる

出典

本文は上記の情報源を参考に、独自に再構成・翻訳したものです。