広東料理・粤菜潮汕牛肉火锅

潮汕牛肉火鍋(潮汕牛肉火锅)レシピ本場潮汕の配合を徹底解説

澄んだスープに大根と生姜の薄切りが浮かぶ鍋と、周りに並ぶ生の牛肉の薄切り、牛肉団子、沙茶醤のたれのイラスト
地域
粤菜(潮汕)
分量
2人分
公開

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潮州の牛肉好きにとって、実は「屠畜したてのいちばん新しい肉」は最高ではない。屠畜後10時間ほどで肉は硬直期(尸僵期)に入って硬くなるため、地元の食通が本当に狙うのは、屠畜から6〜8時間ほど経った「硬直直前」のわずかな時間帯。汕頭・潮州の牛肉火鍋店の多くが毎日新しい牛を仕入れ、開店から数時間で売り切る理由はここにある。

そもそも潮汕地域は人口密集地で耕地が乏しく、地元で牛を育てる余地はほとんどない。牛肉は雲南や貴州などから生きたまま運び込み、短期間だけ地元で飼育してから屠畜する。この「牛肉を産しない街が牛肉火鍋の聖地になった」という逆説こそが、部位を極限まで細かく切り分ける潮汕流のスタイルを生んだ。雪花(霜降り)・脖仁(首肉の芯)・匙仁(最も柔らかい部分)・吊龙(赤身の背肉)・五花趾(筋の効いた部位)・胸口朥(脂の層)など、一頭からわずか数百gしか取れない部位ごとに名前がつき、茹で時間まで変わってくる。

もともとこの鍋は、南洋(東南アジア)から華僑が持ち帰った調味料「沙茶(サーチャー、マレー語のサテに由来)」を溶かし込む「沙茶牛肉炉」として1930年代に広まった。しかし1980年代以降、ガス炉の普及で沙茶ベースのスープが焦げつきやすくなったことと、潮汕人の「とにかく新鮮な状態で食べたい」という嗜好が重なり、澄んだスープに具材をくぐらせ、沙茶醤ベースのたれにつけて食べる今のスタイルへと進化した。東京・上野などにも専門店が増え、日本の「ガチ中華」ブームの代表格となっているこの鍋。ここから先は、中国語の複数レシピを比較して割り出した、家庭で再現できる本場の配合と手順を公開する。

本場式の配合

材料(2人分)

汤底(スープ)

  • 水1000ml
  • 南姜(薄切り)15g
  • 万能ねぎ(青い部分・ぶつ切り)10g
  • 生姜(薄切り)5g
  • 鶏がらスープの素8g(大さじ2/3程度)
  • 塩6g(小さじ1)

具材

  • 牛肉薄切り(脂身少なめ・肩ロースなど)150g
  • 牛肉薄切り(脂身多め・バラ肉など)100g
  • 牛肉団子(牛肉丸)150g
  • 大根(薄切り)150g
  • 白菜(ざく切り)100g
  • 中華麺または春雨締めの麺、好みで100g

蘸料(つけだれ、2人分)

  • 沙茶醤60g
  • にんにくみじん切りを軽く揚げたもの10g
  • セロリ(みじん切り)10g
  • 黄醤黄豆醤、お好みで5g
  • ごま油5ml
  • 食用油(にんにくを揚げる用)15ml

作り方

  1. 鍋に水1000ml、南姜15g、万能ねぎ10g、生姜5gを入れて中火にかける。

  2. 沸騰したら鶏がらスープの素8gを溶かし入れ、弱火で10分ほど煮出して香りを移す。

  3. 塩6gを加えて味を調え、汤底(スープ)を完成させる。

  4. フライパンに食用油15mlを熱し、にんにくのみじん切り10gを色づくまで揚げ焼きにする。粗熱を取り、沙茶醤60g・セロリのみじん切り10g・黄醤5g・ごま油5mlと混ぜ合わせ、蘸料(つけだれ)を作って取り分けておく。

  5. 牛肉は繊維を断つ向きで薄切りにし、脂身の少ない部位(150g)と脂身の多い部位(100g)に分けておく。牛肉団子150g、大根150g、白菜100gも用意する。

  6. 卓上コンロで汤底を沸騰させ、大根・白菜・牛肉団子など火の通りにくい具材から加え、2〜3分煮る。

  7. 脂身の少ない牛肉から菜箸で鍋にくぐらせ、8〜10秒ほど涮(しゃぶしゃぶ)して赤みが消えたら引き上げ、蘸料をつけて食べる。続けて脂身の多い部位を10〜15秒ほど涮して食べる。

  8. 具材を足しながら6〜7を繰り返し、最後に中華麺または春雨を汤底に入れてひと煮立ちさせ、旨みを吸わせて食べ切る。

本場と日本の違い

  • 本場では屠畜から6〜8時間という「硬直直前」の生鮮牛肉を、部位ごとに秒単位で茹で時間を変えて食べるのが身上。日本の「ガチ中華」専門店でも部位分けを再現する店が増えているが、家庭では入手が難しいため、脂身の少ない部位・多い部位の2種類に分けるだけでも十分に本場らしさに近づく。
  • もともとは沙茶醤をスープに溶かし込む「沙茶牛肉炉」だったが、1980年代以降のガス炉普及と「新鮮さ最優先」の食文化により、澄んだスープ+つけだれ方式に変化した。今も沙茶醤はつけだれとして主役級の存在感を保っている。
  • 具材を入れる順番は「痩せた部位から脂の多い部位へ」が鉄則。日本の一般的な鍋のように具材を一度に全部入れず、涮しては食べ、また涮すというテンポの良さが本場流。

参考ページ(写真)

下厨房の「【潮汕牛肉火锅】的做法」レシピページに、汤底の作り方・蘸料の配合・牛肉の部位ごとの涮し時間の手順写真が掲載されています。 https://m.xiachufang.com/recipe/102178387/

代用可能な食材

  • 南姜→生姜で代用可(風味はやや軽くなる)
  • 沙茶醤→市販のサテソースでも代用可
  • 牛肉丸(牛肉団子)→市販の牛肉団子・つくねで代用可
  • 部位分けした牛肉→牛肩ロース薄切り(脂身少なめ)・牛バラ薄切り(脂身多め)の2種類で十分代用可
  • 黄醤(黄豆醤)→省略しても沙茶醤だけで十分成立する

保存・アレンジのコツ

  • 蘸料(つけだれ)は保存容器に入れて冷蔵で3〜4日ほど保存可能。作り置きしておくと便利。
  • 汤底は具材を食べ終えた後にこしてスープだけ冷凍保存すれば、次回の鍋のベースとして再利用できる。
  • 辛さを足したい場合は、つけだれに辣椒油や刻んだ小米辣を少量加えるとよい。

出典

本文は上記の情報源を参考に、独自に再構成・翻訳したものです。