山東料理・鲁菜木须肉

木須肉(木樨肉)レシピ本場山東・孔府菜の配合を徹底解説

きくらげ、炒り卵、細切り豚肉、金針菜、青ねぎを炒め合わせた、青い縁の白い皿の木須肉のイラスト
地域
鲁菜(山東・孔府菜)
分量
2人分
公開

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「木須肉」という四文字のうち、実は「肉」以外の三文字は卵を指す隠語からできたという説がある——そう聞くと驚く人も多いはずだ。この料理はもともと「木樨肉」と書き、細かく炒めた卵の黄色い粒が、金木犀(木樨)の花びらに似ていることから名付けられたというのが定説になっている。清代の随筆『北東園筆録・三編』にも「北方の店では鶏卵と肉を炒めた料理を木樨肉と呼ぶ。砕けた黄色い花のようだからだ」という趣旨の記述が残っている。

一方でもう一つ根強く語られているのが、明代〜清代の宮中に出入りした宦官(太監)にまつわる説だ。身体的な事情から「卵(蛋)」という言葉を極端に嫌ったとされる宦官のために、飲食店側が卵料理の呼び名をわざわざ言い換えたというもので、「炒鶏卵」を「攤黄菜」、「肉絲炒鶏卵」を「木須肉」と呼び変えたと伝えられている。加えて、画数が多く書きにくい「樨」の字が同音の「須」に置き換わっていったことも重なり、本来は「木樨肉」が正式表記でありながら、現在では俗字である「木須肉」の表記のほうが広く定着した、というのが実情のようだ。

発祥は山東・曲阜にある孔府(孔子の子孫の邸宅)の台所とされ、鲁菜(山東料理)の家庭版として全国に広まった料理でもある。豚肉・卵・黒木耳・金針菜(黄花菜)を炒め合わせるのが基本形で、これは孔府の食卓から北京など各地へ伝わる過程で、手に入りやすい具材に少しずつ置き換わってきた歴史の名残でもある。ここから先は、複数の中国語レシピを比較して割り出した、家庭で再現できる本場の配合と手順を公開する。

本場式の配合

材料(2人分)

  • 豚ロース肉またはヒレ肉、細切り150g
  • 卵正味約100g2個
  • 黒木耳(乾燥、水で戻す)戻すと約50g8g
  • 金針菜(黄花菜。乾燥、水で戻す)戻すと約40g10g
  • きゅうり斜め薄切り60g
  • にんじんせん切り40g
  • にんにくみじん切り5g
  • 生姜みじん切り3g
  • 万能ねぎ斜め切り、仕上げ用10g
  • 黄酒または日本酒で代用可。小さじ1、豚肉の下味用5ml
  • 生抽小さじ1、豚肉の下味用5ml
  • 片栗粉小さじ1、豚肉の下味用3g
  • 生抽小さじ2、合わせ調味料用10ml
  • 老抽小さじ1/2、色付け用3ml
  • 黄酒または日本酒で代用可。小さじ1、合わせ調味料用5ml
  • 砂糖3g(小さじ1弱)
  • 塩2.5g(小さじ1/2)
  • 片栗粉(水溶き用)5g
    +水15ml
  • ごま油小さじ1/2、仕上げ用3ml
  • 食用油大さじ3。卵を炒める用と具材を炒める用に分けて使う45ml

作り方

  1. 豚肉は細切りにし、黄酒5ml・生抽5ml・片栗粉3gをもみ込んで10分ほど置く。

  2. 黒木耳と金針菜はそれぞれたっぷりの水に20〜30分ほど浸して戻す。木耳は硬い部分を切り落として食べやすい大きさに、金針菜は硬い軸を切り落として食べやすい長さに切る。きゅうり・にんじんはせん切りにし、にんにく・生姜はみじん切りにする。

  3. 卵は溶きほぐす。フライパンに食用油15ml(大さじ1)を中火で熱し、卵液を流し入れてふんわりと半熟状になるまで炒め、いったん取り出す。

  4. 同じフライパンに残りの食用油30ml(大さじ2)を足し、にんにく・生姜を弱めの中火で香りが立つまで炒める。

  5. 豚肉を加え、中火で表面の色が変わるまで炒める。

  6. 木耳・金針菜・にんじんを加え、強めの中火で1〜2分炒め合わせる。

  7. きゅうりを加えてさっと炒め合わせたら、生抽10ml・老抽3ml・黄酒5ml・砂糖3g・塩2.5gを加えて全体になじませる。

  8. 3の卵を戻し入れ、片栗粉5gを水15mlで溶いたものを加えて手早く炒め合わせる。とろみがついたら火を止め、ごま油3mlを回しかける。

  9. 器に盛り、万能ねぎを散らして完成。

本場と日本の違い

  • 本場では黒木耳と金針菜の「歯ざわりの違う二つの乾物」を必ず組み合わせるのが基本形。日本の町中華で「木須肉」がメニューに載ることは少なく、載っていても野菜炒めに近い簡略版(金針菜を省き、きゅうり・にんじん・卵・豚肉だけで仕上げる)になっていることが多い。
  • 卵は他の具材と一緒に炒めず、いったん別に半熟状に炒めて取り出しておき、最後に戻し入れるのが本場のコツ。こうすることで、名前の由来である「金木犀の花びらのような黄色いふわふわの粒」がきれいに残る。
  • 生抽だけでなく老抽を少量加えて薄いべっこう色に仕上げるのも本場らしいポイント。日本の家庭では醤油だけで済ませがちだが、老抽を少量加えるだけで色味と香りがぐっと本格的になる。

参考ページ(写真)

下厨房の「木須肉」レシピページに、卵を先に炒めて取り出す工程や具材を炒め合わせる手順の写真が掲載されています。 https://m.xiachufang.com/recipe/103866023/

代用可能な食材

  • 金針菜(黄花菜)→ 中華食材店・乾物店で「金針菜」「黄花菜」として販売されているものが入手しやすいが、見当たらない場合は生のえのきだけ(根元を落として小房に分けたもの)で代用可(食感は近いが風味はやや異なる)。
  • 黒木耳→ スーパーの乾物売り場でも入手しやすいが、見当たらない場合は缶詰の中華くらげ用きくらげ(水煮)でも代用可。
  • 豚ロース肉→ 豚こま切れ肉や鶏むね肉でも代用可。

保存・アレンジのコツ

  • 具材を切り揃えて下味までつけておけば、帰宅後10分程度で仕上げられる。
  • 冷蔵で2日程度保存可能。再加熱の際は少量の水を足してフライパンで温め直すと、卵がパサつきにくい。
  • ご飯にのせて「木須肉丼」にしたり、薄餅(春餅・荷叶餅など)や餃子の皮を薄く伸ばしたものに巻いて食べても本場らしいアレンジになる。

出典

本文は上記の情報源を参考に、独自に再構成・翻訳したものです。