山東料理・鲁菜德州扒鸡

徳州扒鶏レシピ本場山東・徳州の配合を徹底解説

飴色に照りの出た丸鶏を茶色い煮汁とともに楕円の皿に盛った徳州扒鶏のイラスト
地域
鲁菜(山東・徳州)
分量
2人分・目安、丸鶏1羽分
公開

この記事はAmazonアソシエイトのリンクを含みます。

中国には「四大名鶏」と呼ばれる鶏料理があるが、その筆頭に挙げられるのが山東省徳州市の徳州扒鶏だ。中国国家級無形文化遺産(非物質文化遺産)にも「徳州扒鶏制作技芸」として登録されており、単なるご当地グルメを超えた伝統技術として国に認められている。

その歴史は京杭大運河の繁栄と切り離せない。徳州は運河の要衝として栄えた港町・宿場町で、「元末明初、码头、集市上就有了叫卖烧鸡的人」(元末明初にはすでに埠頭や市場で焼き鶏を売り歩く者がいた)と伝えられており、行き交う旅人や商人を相手にした屋台の焼き鶏が原型になったとされる。転機になったのは清の康熙年間(康熙31年、西暦1692年ごろ)で、賈健才らの職人たちが「大火煮、小火焖」(強火で煮てから弱火でじっくり蒸し煮にする)という手法を編み出し、現在の「扒鶏」の基礎となる製法を確立したと伝わる。以来、師から弟子へと技術が受け継がれ、今日まで続いているという。

伝統的な製法は宰鶏・湯通し・開膛・洗浄・成形(盤鶏)・蜜での色付け・油での揚げ焼き(上色・炸鶏)・串打ち(杈鶏)・煮込み(煮鶏)・取り出し・包装という十以上の工程からなる非常に手間のかかる仕事だ。中でも特徴的なのが「十六種の名貴佐料」(16種類の高級香辛料)を漢方の考え方に基づいて配合する点と、代々継ぎ足しながら使われる「老鹵(老スープ)」の存在である。表面には蜂蜜を溶いた水を塗って乾かしてから油で揚げ、あめ色の照りのある皮に仕上げてから、じっくり煮込むことで「色・香・味・形」すべてが揃った一羽に仕上げるとされる。骨から肉がほろりと外れるほど柔らかく煮上がっているのに、鶏の形が崩れていないのが本場の扒鶏の証とされる。

家庭で十六種の香辛料や代々続く老鹵を再現するのは難しいが、香りの骨格となる主要なスパイスと、蜂蜜での皮づくり、そして長時間の弱火煮込みという核心部分は再現可能だ。ここから先は、中国語の複数レシピを比較して割り出した、家庭で作れる本場の配合と手順を公開する。

本場式の配合

材料(2人分・目安、丸鶏1羽分)

主材料

  • 丸鶏(できるだけ小ぶりのもの)1羽(1〜1.2kg程度)

皮づくり用

  • 蜂蜜大さじ1
  • 水蜂蜜と水は1:4程度の比率大さじ4

煮込み調味料

  • 生抽大さじ3
  • 老抽照りと色付け用大さじ2
  • 黄酒大さじ2〜3
  • 香醋大さじ1
  • 塩小さじ2
  • 氷砂糖または砂糖10粒程度(大さじ1弱)
  • 生姜5枚
  • 長ねぎぶつ切り1本
  • 水またはスープ鶏がひたひたになる量

香辛料(八角・桂皮などの基本セット)

作り方

  1. 鶏の下ごしらえと成形:丸鶏は内臓を除いて洗い、羽先や足先の余分な部分を整える。腹の中に手を入れて骨格を軽く押し、脚を腹の切り込みに差し込んで丸くコンパクトな形に整える(伝統では竹串や麻紐で固定する「盤鶏」という工程)。

  2. 皮を乾かす:蜂蜜と水を1:4の割合で溶き、刷毛で鶏の表面全体に塗る。風通しの良い場所か扇風機の前で30分〜1時間、表面がしっとり乾く程度まで乾燥させる。

  3. 揚げ焼きで色をつける:鍋に多めの油を熱し(170〜180℃目安)、鶏を皮目からゆっくり回しながら揚げ焼きにし、全体が飴色〜濃い茶色になるまで色をつける。油はねに注意し、菜箸で転がしながら数分かけて行う。

  4. 香辛料を炒める:別鍋に少量の油を熱し、八角・桂皮・花椒などの香辛料を弱火でさっと炒めて香りを引き出す。

  5. 煮込む:鶏がひたひたに浸る量の水(またはスープ)を注ぎ、生抽・老抽・黄酒・塩・氷砂糖・生姜・長ねぎ・炒めた香辛料をすべて加える。強火で一度沸騰させたら最小の弱火に落として蓋をし、2時間ほどコトコト煮込む。

  6. 味を含ませる:火を止めたあとも30分ほど煮汁に浸けたまま置き、味をさらに染み込ませる。骨から肉がほろりと外れるくらい柔らかくなっていれば完成。煮汁を軽く煮詰めて照りを出し、仕上げに鶏の表面に回しかけてもよい。

本場と日本の違い

  • 香辛料の種類と数が桁違い:本場の老舗は「十六種の名貴佐料」を使うとされ、家庭では八角・桂皮・花椒などの基本セットに簡略化されるが、それでも日本のから揚げや煮込み料理に比べると使用するスパイスの種類は格段に多い。
  • 蜂蜜で皮を乾かしてから揚げる工程がある:日本の鶏の照り焼きや煮込み料理では省略されがちだが、本場では蜂蜜水を塗って乾燥させてから油で揚げることで、独特のパリッとした飴色の皮を作る。
  • 煮込み時間が非常に長い:本場では2時間前後、弱火でじっくり煮込み、さらに火を止めてから30分置くことで骨離れの良い柔らかさに仕上げる。日本の鶏の煮込みよりもかなり長時間である。
  • 「盤鶏」という独特の成形をする:鶏の脚を腹の切り込みに差し込んで丸い形に整える伝統技法があり、見た目の美しさも重視される。日本の丸鶏料理ではあまり見られない工程。
  • 老鹵(継ぎ足しスープ)の存在:本場の老舗では代々継ぎ足しながら使う「老鹵」が味の核となっているが、家庭では再現できないため、その代わりに香辛料の配合を丁寧に行うことで近い風味を目指す。

参考ページ(写真)

下厨房の「三部就完成的零失败软糯脱骨徳州扒鶏」は、皮を乾かす工程、揚げ焼きで色をつける工程、香辛料を炒めてから煮込む工程が写真付きで紹介されており、家庭での再現手順を視覚的に確認しやすい。 https://m.xiachufang.com/recipe/105813768/

代用可能な食材

  • 丸鶏→骨付きもも肉2〜3本(1kg程度、成形の工程は省略し、皮目を色付けしてから同じ配合で煮込む)
  • 黄酒→日本酒または料理酒(大さじ2〜3、風味はやや軽くなる)
  • 草果・白豆蔻・丁香・甘草・陳皮→なければ省略可(八角・桂皮・花椒・香葉の4種だけでも十分に骨格のある香りになる)

保存・アレンジのコツ

  • 煮汁ごと冷蔵すれば2〜3日は保存可能。時間が経つほど味が染み込むため、翌日の方がおいしいという声も多い。
  • 冷凍する場合は身をほぐしてから煮汁と一緒に保存すると、解凍後もパサつきにくい。
  • 骨から外した身は、そのまま食べるほか、チャーハンや汁麺の具材として活用すると余すことなく楽しめる。

出典

本文は上記の情報源を参考に、独自に再構成・翻訳したものです。