山東料理・鲁菜把子肉
把子肉(済南風豚バラの醤油煮)レシピ本場山東・済南の配合を徹底解説

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「大米干飯把子肉,吃飽喝足無憂愁(白いご飯に把子肉、腹いっぱいなら悩みなし)」。済南にはこんな言い回しがある。街角の食堂のカウンターには、醤油色に煮込まれた分厚い豚バラが大鍋にずらりと並び、客は指さしで肉を選んで、ご飯の上にたれごとのせてもらう。済南の人にとってのソウルフード、それが「把子肉」だ。
名前の「把子」は「束」のこと。長方形に切った豚バラを、昔は大明湖に生える蒲草で一枚ずつ縛ってから煮込んだ。肥身と赤身がとろとろに煮えても崩れず「ひと束」にまとまっていることから、この名がついたとされる。今は綿の糸で縛る店が多い。
由来には二つの言い伝えがある。一つは古代の公祭にまつわる説で、祭祀の後に供え物の肉を長方形に切り分けて参列者に配る際、蒲草や馬藺草で縛って「束」にしたのが始まりというもの。もう一つは『三国志』の劉備・関羽・張飛が義兄弟の契りを結んだ「桃園の誓い」の宴にちなむ俗説で、張飛が煮込みすぎて皮と肉が離れてしまった豚バラを、劉備が草の縄で縛ってみなで分け合ったという。「拝把子(義兄弟の契り)」と「把子肉」を掛けた、いかにも山東らしい話だ。
本サイトでは以前、中国全土の家庭料理「紅焼肉」を紹介した。同じ豚バラの醤油煮でも、角切りにして砂糖を焦がした照りで仕上げる紅焼肉に対し、把子肉は大きな板状の塊を縛り、醤油の色と香りだけでたっぷりの汁で煮込む別物だ。違いは後半で詳しく解説する。
ここから先は、中国語の複数レシピを比較して割り出した、本場の配合と手順を公開する。
本場の配合
材料(4人分)
豚肉の下ゆで
- 豚バラ肉ブロック・皮付きがあればなおよい800g
- 水2000ml
- 生姜薄切り10g
- 長ねぎ(青い部分)20g
- 調理用たこ糸8本(各40cm)
煮込み
添え物
- ゆで卵殻をむく4個
- 尖椒万願寺唐辛子などの細長い青唐辛子4本(約80g)
- 温かいご飯600g
作り方
鍋に水2000ml・生姜10g・長ねぎの青い部分20gと豚バラ肉をブロックのまま入れて強火にかける。沸騰したらアクを取り、中火で15分ゆでる。取り出して粗熱を取り、身を締める。
豚バラ肉を厚さ1.5cm・長さ10cm前後の板状に8枚切り分ける。1枚ずつ、たこ糸を十字にかけてしっかり縛る。
フライパンにサラダ油15mlを熱し、豚肉を中火で片面2分ずつ焼いて、表面に焼き色をつけながら余分な脂を出す。
土鍋または厚手の鍋の底に長ねぎ30g・生姜15gを敷き、豚肉を並べる。八角・桂皮・香葉・花椒・氷砂糖15gをのせ、黄酒30ml・生抽60ml・老抽15ml・水800mlを注ぐ。
強火で沸騰させてアクを取り、ふたをして弱火で60分煮込む。
ゆで卵に包丁で浅く縦に数本切り込みを入れて鍋に加え、さらに30分煮込む。途中で一度、肉と卵の上下を返す。
尖椒は油をひかないフライパンにヘタごと並べ、ヘラで押しつけながら中火で3分、両面に焦げ目がつくまで焼く(虎皮)。鍋に加えて10分煮る。
器にご飯を盛り、把子肉2枚・卵1個・尖椒1本をのせ、煮汁を大さじ2〜3杯かける。たこ糸は食べる前にはさみで切って外す。
本場と日本の違い
- 紅焼肉との違い:紅焼肉は豚バラを3cm角ほどに切り、砂糖を焦がした糖色と醤油で照りが出るまで煮詰める。把子肉は板状の大きな塊を糸や草で縛って形を保ち、糖色は使わず醤油で色と香りをつけ、たっぷりの汁(老湯)の中で煮込んでおく。汁を煮詰めず、ご飯にかける「つゆ」として残すのも大きな違いだ。
- 「把(束)」の意味:縛るのは見た目のためではなく、長時間煮込んでも脂身と赤身がばらばらにならないようにするため。本場では大明湖の蒲草で縛るのが伝統で、今もこの草で縛って仕込む老舗がある。
- 食べ方:レストランの一品料理ではなく、済南では食堂の快餐(ぶっかけ飯)として親しまれる。肉と同じ汁で煮た卵・豆腐・麩(面筋)・唐辛子などを好みで選び、ご飯にのせてもらうスタイル。
- 日本の角煮との違い:日本の豚の角煮は下ゆで後に甘辛く煮含めるが、把子肉は甘さ控えめで醤油の香りが主役。肉も角煮より厚く大きく、ご飯と一緒に食べて完成する味付けになっている。
参考ページ(写真)
下厨房の「把子肉」レシピページに、縛った豚バラを卵・尖椒と一緒に煮込む手順写真が掲載されています。
(https://m.xiachufang.com/recipe/106904277/)
代用可能な食材
- 皮付き豚バラ肉:皮なしの豚バラブロック800gでも作れる。その場合は手順3で脂身側を先に焼く
- 調理用たこ糸:本場の蒲草の代わり。かんぴょうを水で戻して縛ってもよい
- 尖椒:ピーマン2個(縦半分に切る)で代用可
- 氷砂糖:上白糖12gで代用可
保存・アレンジのコツ
- 煮汁ごと冷蔵で4日保存可能。冷えると表面に固まる白い脂を取り除けば、さっぱり温め直せる
- 残った煮汁は老湯として冷凍保存でき、次回の把子肉や煮卵・煮豆腐に使うと味に深みが出る
- 焼き豆腐や厚揚げ200gを手順6で一緒に煮込むと、済南の食堂の「醤豆腐」風の添え物になる
出典
- 澎湃新聞「山东肉食“扛把子”,为什么是“把子肉”?」
- 澎湃新聞「这一口把子肉,为什么济南人怎么都吃不够?」
- 騰訊新聞「济南把子肉:因为“拜把子”流传下来的美食」
- 下厨房「把子肉 by 鸟05」レシピ
- 美食天下「把子肉 by 糖芯厨房」レシピ
- 下厨房「把子肉 by 美食作家王刚」レシピ
本文は上記の情報源を参考に、独自に再構成・翻訳したものです。