湖南料理・湘菜腊味合蒸
臘味合蒸レシピ本場湖南の配合を徹底解説

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豚肉、魚、鶏。三種類の燻製の保存肉を一つの碗に並べ、蒸し器に入れて待つこと1時間。調理といえばほぼそれだけなのに、湖南の人にとっては年越しの食卓に欠かせない「ご馳走」になるのが「臘味合蒸」だ。2018年には「湖南十大経典名菜」の一つにも選ばれている。
この料理には、ひとりの落ちぶれた男の伝説が残る。清代、借金で店を失い流浪していた元飯館の主人・劉七が、年の瀬にある家から腊魚・腊肉・腊鶏を恵んでもらった。日も暮れていたので、彼はそれを全部一緒に碗に入れて、富豪の屋敷の軒下で火をおこして蒸した。すると漂う香りに誘われて屋敷の主が現れ、ひと口食べて感嘆。劉七は酒楼の料理人に迎えられ、店には「腊味合蒸」の品書きが掲げられた――という話だ。あくまで言い伝えだが、湖南の地元メディアはこの料理の由来として繰り返し紹介している。
背景にあるのは湖南の気候だ。温暖で湿気が多く生肉が傷みやすい土地では、塩漬けにして風に当て、籾殻やサトウキビの搾りかす、干した柚子の皮などでいぶして保存する腊味の技術が発達した。塩漬けの目安は「魚は三日、肉は七日」とされる。中国語版ウィキペディアでも、湘菜のうち湘西の山間部は燻製の腊味で知られると説明されている。
日本では腊味といえば中華ソーセージ(腊腸)くらいしか馴染みがないが、湖南の腊肉・腊魚は燻香と塩気がはるかに強く、蒸すことで脂が溶け出し、三種の旨みが碗の中で混ざり合う。
ここから先は、中国語の複数レシピを比較して割り出した、本場の配合と手順を公開する。
本場の配合
材料(3〜4人分)
下ごしらえ用
- ぬるま湯(約40℃)2000ml
作り方
腊肉・腊魚・腊鶏をぬるま湯2000mlに30分浸け、表面の煤や汚れをたわしで洗い落とす。腊魚は特に塩気が強いので、途中で一度湯を替える。
3種をそのまま蒸し器に入れ、強火で20分蒸して取り出す。粗熱が取れたら、腊鶏は骨を外し、腊肉は皮を除き、腊魚はうろこと大きな骨を取る。
腊肉は長さ4cm・厚さ7mmの薄切りに、腊鶏と腊魚も同じくらいの大きさの細長い切り身にする。
深めの耐熱碗(直径15cm程度)に、皮側を下にして3種を1/3ずつ区画を分けて放射状にきっちり並べる。
上からラード20g・砂糖10gをのせ、黄酒15mlと鶏スープ60mlを回しかける。豆豉10g・乾燥赤唐辛子3g・生姜5gを散らす。
蒸気の上がった蒸し器に入れ、強めの中火で60分蒸す。途中で蒸し器の湯が減ったら熱湯を足す。
碗の上に大皿をかぶせ、一気にひっくり返して皿に移す(扣碗)。小ねぎを散らし、ごま油5mlをたらす。
本場と日本の違い
- 保存肉の強さ:湖南の腊肉・腊魚は塩漬け後に燻しをかけるため、日本のベーコンや中華ソーセージよりずっと塩辛く、身も締まっている。蒸す前に湯に浸けて塩を抜く工程は省けない。
- 甘みを足す理由:古典的な配合では、ラード・砂糖・肉のスープを加えて蒸す。塩気の強い腊味に砂糖を合わせることで、「咸甜適口(しょっぱさと甘さがちょうどよい)」と表現される味にまとまる。
- 豆豉と唐辛子:老舗の古典的な配合は唐辛子なしで蒸すが、近年の家庭版では豆豉と唐辛子を加える作り方も多い。本レシピは家庭版の配合を採った。
- 塩を足さない:腊魚は特に塩気が強いため、本場のレシピでも「合蒸には塩を加えない」とされる。
参考ページ(写真)
美食天下の「腊味合蒸」レシピページに、三種の腊味を切り分けて碗に詰め、蒸し上げるまでの手順写真が掲載されています。
(https://home.meishichina.com/recipe-35232.html)
代用可能な食材
- 腊肉:中華食材店の湖南腊肉が手に入らなければ、パンチェッタ200gで代用可(燻香は弱くなる)
- 腊鶏:燻製チキン(スモークチキン)200gで代用可
- 腊魚:入手が難しい場合は、中華ソーセージ(腊腸)200gに置き換える。腊腸を組み合わせる合蒸は中国の家庭レシピでもよく見られる
- ラード:サラダ油20mlで代用可(コクはやや軽くなる)
- 鶏スープ(無塩):湯60mlで代用可
保存・アレンジのコツ
- 蒸し上がりを冷蔵で3日保存可能。食べる前に再度15分蒸すと、脂が溶けて作りたての食感に戻る
- 残った腊味は細切りにして、青唐辛子と強火で炒めると、ご飯の進む湖南風の炒め物になる
- 碗の底に残った脂と汁はうま味の塊。ご飯にかけたり、炒飯の味付けに使ったりするとよい
出典
- 新湖南「湖南七大名菜的历史故事,99%你绝对没听过!」
- 新浪新聞「腊味合蒸的历史文化背景是什么?」
- 搜狐「湘菜文化:腊味合蒸,腊味里头有江湖」
- 維基百科「湘菜」
- 美食天下「腊味合蒸」レシピ
- 美食天下「腊味合蒸 by 菜虫1006」レシピ
本文は上記の情報源を参考に、独自に再構成・翻訳したものです。