湖南料理・湘菜酱板鸭
醤板鴨レシピ本場湖南の配合を徹底解説

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平たく押しつぶされ、赤黒く照り光る鴨が店先にずらりと吊るされている――湖南の街角でおなじみの「醤板鴨」は、噛むほどに甘辛い醤の味と唐辛子の辛さがしみ出す、湖南を代表する鴨の保存食です。
発祥は湖南省常徳(古くは武陵と呼ばれた地域)とされています。新浪湖南や搜狐の記事が紹介する言い伝えによれば、二千年以上前の楚の昭王の時代、武陵出身の宮廷料理人・石糾が、故郷で母を助けてくれた村人たちへの恩返しに、宮中で覚えた技を地元の鴨に応用したのが始まりだといいます。楚王がこれを気に入って「貢品醤板鴨」と名付けた、という話ですが、あくまで伝説として楽しむのがよさそうです。伝統的な製法は、鴨を塩と花椒・五香粉・唐辛子粉で漬け込み、竹の枠で板状に広げて干し、稲わらともみ殻の煙でいぶしてから、三十種を超える生薬と十数種の香辛料の醤汁で煮込むという手の込んだものです。
本サイトではすでに安徽の「無為板鴨」を紹介しました。無為板鴨は押しも干しもせず、燻してから煮る辛くない徽菜の鴨。一方の醤板鴨は、板状に押して干し、醤の煮汁で煮てから再び乾かす湘菜の鴨で、唐辛子の辛さと硬めの噛みごたえが持ち味です。同じ「板鴨」でも、工程も味もまったく別物です。
ここから先は、中国語の複数レシピを比較して割り出し、家庭のオーブンで作れるようにした本場の配合と手順を公開します。
本場の配合
材料(4人分・鴨1羽分)
鴨と漬け込み
焼き
- はちみつ15ml
醤汁(煮汁)
仕上げ
- ごま油15ml
作り方
鴨は足と手羽先を切り落とし、尾の付け根にある脂腺を取り除く。背骨に沿って縦に切り開き、手のひらで胸骨を押して平らに広げる。水気をキッチンペーパーでしっかり拭く。
塩20g・花椒3g・砂糖5g・辣椒粉5gを混ぜ、鴨の内側と外側にまんべんなくすり込む。続けて生姜のすりおろしと老抽10mlを全体に塗る。保存袋に入れて空気を抜き、冷蔵庫で24時間漬ける(途中で1回裏返す)。
鴨を取り出して表面の水分を拭き、網をのせたバットに皮を上にして広げる。上からバットを重ね、2kg程度の重し(水を入れたペットボトルなど)をのせて平らに押さえ、ラップをせずに冷蔵庫で12時間おいて表面を乾かす。
オーブンを190℃に予熱し、網ごと鴨を入れて30分焼く。焼き始めて20分たったところで皮にはちみつ15mlを塗り、残り10分焼く。
焼いている間に醤汁を作る。鍋に水1500mlと醤汁の材料をすべて入れて強火にかけ、沸騰したら中火で15分煮て香りを出す。
焼き上がった鴨を熱いうちに沸騰している醤汁に入れ、落としぶたをして弱火で15分煮る。火を止めてそのまま15分おき、味をしみ込ませる。
鴨を取り出して網にのせ、熱いうちに刷毛でごま油15mlを全体に塗る。粗熱がとれたらラップをせずに冷蔵庫に入れ、15時間以上おいて表面をしっかり乾かす。
骨ごと包丁で幅2cm程度に切り分け、常温に戻してから盛り付ける。
本場と日本の違い
- 工程の順番:本場の製法は「漬ける→板状に干す→燻す→醤汁で煮る」。家庭ではいぶす工程をオーブン焼きに置き換え、はちみつで照りと香ばしさを補っている。
- 辛さと甘さ:湖南の醤板鴨は、南京板鴨のような塩味だけの鴨とも、無為板鴨のような辛くない燻製鴨とも違い、唐辛子の辛さと醤・氷砂糖の甘さを重ねるのが特徴。
- 食感:日本の鴨料理はロゼに焼いたやわらかいものが主流だが、醤板鴨は水分を抜いた硬めの肉を骨ごとかじり、噛むほどに味を引き出す「つまみ」の鴨。
- 楽しみ方:温め直さず、常温で骨ごと切り分けて食べる冷菜・つまみとして扱われる。
参考ページ(写真)
美食天下の「酱板鸭」レシピページに、鴨を開いて漬け込み、オーブンで焼いてから煮汁で煮る家庭版の手順写真が掲載されています。
(https://home.meishichina.com/recipe-70670.html)
代用可能な食材
- 丸ごとの鴨:骨付き鴨もも肉4本(約1kg)でも作れる。その場合は漬け込みの塩を14gに減らし、手順4のオーブンは25分、手順6の煮込みは10分にする
- 香辛料:八角・桂皮・丁香・小茴香・陳皮・甘草がそろわない場合は、市販の滷包(卤料包)1袋で代用可
- 甜麺醤:赤味噌15g+砂糖5gで代用可
- 氷砂糖:上白糖25gで代用可
保存・アレンジのコツ
- 1本ずつ切り分けてラップで包み、冷蔵で1週間、冷凍で1か月保存できる。冷凍したものは冷蔵庫で解凍し、常温に戻してから食べる
- 残った醤汁はこして冷凍しておけば、次回の醤板鴨や、鶏手羽・鴨舌の煮込みに再利用できる
- 細かく刻んで青唐辛子と炒め合わせると、ごはんのおかずになる
出典
本文は上記の情報源を参考に、独自に再構成・翻訳したものです。