湖南料理・湘菜常德牛肉粉

常徳牛肉粉レシピ本場湖南・常徳の配合を徹底解説

赤いスープに細い丸麺の米粉と角切りの牛肉、ねぎ、香菜をのせた常徳牛肉粉のイラスト
地域
湘菜(湖南・常徳)
分量
4人分
公開

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湖南省北部の常徳では、市街地だけで1日に5万kgの米粉が消費されるという。朝の粉店に並ぶ人々の目当ては、真っ白で細長い丸麺に、唐辛子の効いた醤油色の牛肉煮込みをのせた「常徳牛肉粉」だ。

この一杯の誕生には、少数民族の移住の歴史が絡んでいるという説がある。湖南の地元メディアによれば、清の雍正年間、「改土帰流」政策をきっかけに新疆のウイグル人の一派が常徳の津市一帯に移り住んだ。彼らはもともと牛肉麺を好んだが、この土地の主食は米。そこで小麦の麺の代わりに米の麺を使ったのが牛肉粉の始まりだとされる。一方、中文版ウィキペディアは起源を清の光緒年間とし、後に湖南の人々が辛く塩気の強い味に改良して今の形になったと説明している。起源の時期には諸説あるが、今も常徳の米粉の具には、牛肉・牛もつを中心とした「回族の码子」の系統が豊富に残っている。

常徳米粉は米を挽いて蒸し、搗いて押し出した「丸くて細長く、龍のひげのような」生麺。のせる具は「码子(マーズ)」と呼ばれ、牛肉の細切り・牛もつ・清燉(醤油を使わない澄んだ煮込み)・紅焼(醤油煮込み)など種類が豊富だ。地元には小さな角切り牛肉、清燉、五香紅焼をそれぞれ看板にする老舗があり、本記事では家庭で再現しやすい紅焼牛肉を取り上げる。

本サイトでは以前、貴州の「花渓牛肉粉」と「遵義羊肉粉」を紹介した。同じ牛・羊の米粉でも、貴州の2品が澄んだスープを軸にするのに対し、常徳は赤く辛い煮込みの汁そのものをスープにする。その違いは後半で詳しく解説する。

ここから先は、中国語の複数レシピを比較して割り出した、本場の配合と手順を公開する。

本場の配合

材料(4人分)

牛肉をゆでる

  • 牛バラ肉(ブロック)600g
  • 水2000ml
  • 生姜薄切り10g
  • 長ねぎ(青い部分)20g

紅焼牛肉の码子

盛り付け

作り方

  1. 牛バラ肉は水に1時間浸けて血抜きをする(途中で一度水を替える)。

  2. 鍋に水2000mlと牛肉を入れて強火にかけ、沸騰したらアクを丁寧にすくう。生姜10gと長ねぎの青い部分20gを加え、ふたをずらして弱火で60分ゆでる。

  3. 牛肉を取り出して2.5cm角に切る。ゆで汁はこして1400mlを計り取る(足りなければ水を足す)。

  4. 別の鍋にサラダ油40mlを入れ、生姜20g・にんにく20g・八角・桂皮・草果・香葉・花椒・陳皮・小茴香を加えて弱火で2分、にんにくが色づくまで炒めて香りを移す。

  5. 乾燥赤唐辛子と郫県豆瓣醤30gを加えて弱火で30秒炒め、赤い油が出てきたら牛肉を加える。強火にして3分、表面の水分が飛ぶまで炒める。

  6. 黄酒30ml・生抽45ml・老抽10ml・氷砂糖10gを加えて全体に色をからめ、牛肉のゆで汁1400mlを注ぐ。

  7. 沸騰したらふたをして弱火で50分煮込み、塩7gを加えてさらに10分煮る。牛肉が箸ですっと切れるやわらかさになり、汁が約1000mlに減ったら码子の完成。

  8. 刻んだ酸豆角をサラダ油5mlで中火で1分炒め、水気を飛ばして取り出す。別の鍋にたっぷりの湯を沸かし、乾燥米粉400gを入れる。再沸騰したら火を止めてふたをし、10分おいて戻す。芯が残る場合はさらに1〜2分ゆでる。

  9. 米粉を湯切りして4つの丼に分け、7の汁を1杯あたり250ml注ぎ、牛肉を1/4量ずつのせる。小ねぎ・香菜・酸豆角を散らす。

本場と日本の違い

  • 花渓牛肉粉・遵義羊肉粉との違い:貴州の花渓牛肉粉は黄牛と牛骨の澄んだスープに幅広の米粉を合わせ、辛さは卓上のつけだれ(蘸水)で足す。遵義羊肉粉も羊のスープは澄んでいて、辛さは後がけの辣椒油が担う。常徳牛肉粉は、郫県豆瓣醤と唐辛子で煮込んだ紅焼牛肉の汁そのものをスープにするため、最初から赤く辛く、醤油の香りが立つ。
  • 麺の形:貴州の牛肉粉が幅広の平麺(寛粉)を好むのに対し、常徳は細い丸麺(圓粉)が基本。汁をよく絡め、するすると食べられる。
  • 码子文化:常徳では、同じ米粉に紅焼・清燉・牛もつなど好きな码子を選んでのせる。店ごとに看板の码子が違うのも常徳らしさだ。
  • 卓上の酸豆角:常徳の粉店では、炒めた酸豆角や漬物が無料で置かれ、客が自分で好きなだけ加えるのが定番。辛さや塩気が強いと感じたら、酸豆角の酸味で口直しをする。本記事では1杯15gを最初からのせている。
  • 日本のビーフンとの違い:日本で一般的な細いビーフンは炒め物向けで、スープに入れると頼りない。常徳の米粉は生麺でもちっとした弾力があり、乾麺で代用する場合も太めの丸い米粉を選ぶ。

参考ページ(写真)

下厨房の「常德牛肉粉」レシピページに、牛肉の下ゆでから紅焼の煮込み、盛り付けまでの手順写真が掲載されています。

(https://m.xiachufang.com/recipe/102154897/)

代用可能な食材

  • 乾燥米粉(丸い細麺タイプ):中華食材店の「米線」や桂林米粉の乾麺で代用可。手に入らない場合は、太めのビーフンを使い、戻し時間を袋の表示通りにする
  • 郫県豆瓣醤:一般的な豆板醤30gで代用可。その場合は塩を5gに減らす
  • 草果・陳皮・小茴香:揃わない場合は五香粉2gで代用可(香りはやや単調になる)
  • 酸豆角:高菜漬け60gを刻んで代用可
  • 牛バラ肉:牛すね肉600gでも可。ゆで時間を20分延ばす

保存・アレンジのコツ

  • 码子(牛肉と汁)は冷蔵で4日、冷凍で1ヶ月保存可能。1食分ずつ小分けにしておくと、米粉をゆでるだけで朝ごはんになる
  • 汁を大さじ4程度に減らして米粉に和えると、汁なしの和え米粉としても楽しめる
  • 码子はご飯にかけても、うどんにのせてもおいしい

出典

本文は上記の情報源を参考に、独自に再構成・翻訳したものです。