山東料理・鲁菜酱爆鸡丁
醤爆鶏丁レシピ本場山東の配合を徹底解説

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「宮保鶏丁のルーツは、辛くない鶏の醤炒めだった」――そんな説があるのをご存じだろうか。その鶏の醤炒めこそが、山東料理(魯菜)の醤爆鶏丁だ。
醤爆鶏丁は、魯菜の「醤爆(ジャンバオ)」系統を代表する一皿とされる。醤爆とは、豆を発酵させた醤を油でじっくり炒めて香りを引き出し、そこへ油通しした食材を強火で一気にからめる技法のこと。中国の料理サイトでは「赤みを帯びたつやのある見た目、塩気の中にほのかな甘み、柔らかな鶏肉と濃厚な醤の香り」がこの料理の特徴として紹介されている。
新華社系の雑誌『環球』の記事によれば、清末の官僚・丁宝楨は山東で長く官職に就き、鶏肉と落花生を好んだため、山東の名菜だった醤爆鶏丁が口に合ったという。その後、四川総督となった丁宝楨の厨房が、この料理を四川の辛い味付けにアレンジしたのが宮保鶏丁の始まりだ――という説である。健康紙『生命時報』も同じ話を紹介する一方、成都博物館の解説は宮保鶏丁の起源話の多くを民間の言い伝えとしている。由来には諸説あるが、主材料が同じ鶏肉なのに、調味の方向がまったく違う兄弟料理として語られることが多い。
本サイトで以前紹介した宮保鶏丁(No.52)は、唐辛子と花椒を効かせた甘酸っぱく辛い四川の味だった。一方の醤爆鶏丁は、唐辛子も花椒も使わず、黄醤(黄豆醤)や甜面醤の塩気とコク、砂糖の甘みだけで仕上げる。見た目は似ていても、口に入れると別物だ。
ここから先は、中国語の複数レシピを比較して割り出した、醤爆鶏丁の本場の配合と手順を公開する。
本場の配合
材料(2人分)
- 鶏もも肉皮を除き1.5cm角に切る300g
- きゅうり(1.5cm角に切る)1本(100g)
- 長ねぎ(みじん切り)10g
- 生姜(みじん切り)5g
- 揚げ油(油通し用)500ml
鶏肉の下味
- 黄酒または日本酒小さじ1(5ml)
- 白こしょう0.3g
- 卵白10g(1/3個分)
- 片栗粉大さじ1(9g)
- サラダ油小さじ2(10ml)
合わせ醤
仕上げ
- ごま油(醤を炒める用)大さじ1(15ml)
- 砂糖12g(大さじ1強)
- 黄酒または日本酒(鍋肌から加える用)小さじ1(5ml)
作り方
鶏肉は水で軽く洗って水気をよく拭き、ボウルに入れる。黄酒5ml・白こしょうを加えてもみ込み、卵白を加えてさらにもみ、片栗粉をまぶして全体をなじませる。最後にサラダ油10mlを加えて表面をコーティングし、15分おく。
黄醤・甜面醤・黄酒15ml・水30mlを小さなボウルでよく混ぜ、なめらかにのばして合わせ醤を作る。
揚げ油を160℃に熱し、鶏肉をほぐしながら入れる。表面が白く固まったら箸で手早く散らし、約1分で8割ほど火が通ったらきゅうりを加えて10秒くぐらせ、すべて網じゃくしで引き上げて油を切る。
鍋の油をあけてきれいにし、ごま油15mlを入れて弱火で温め、長ねぎと生姜を入れて香りを出す。
合わせ醤を加え、弱火で2〜3分、へらで絶えず混ぜながら炒める。水分が飛んで醤が細かい粒状になり、油と醤が分かれてきたら炒め上がりの合図。
砂糖12gを加えて溶かし、鶏肉ときゅうりを戻し入れる。強火にして、お玉の背で醤をのばしながら30秒ほど手早く炒め、全体に醤をまとわせる。
鍋肌から黄酒5mlを回し入れ、ひと混ぜしたらすぐに器に盛る。
本場と日本の違い
- 宮保鶏丁(No.52)との違い:宮保鶏丁は干し唐辛子と花椒で香りを出し、醤油・酢・砂糖の甘酸っぱい辛味だれでまとめる。醤爆鶏丁は唐辛子・花椒・酢を使わず、醤(黄醤・甜面醤)を油で炒めて出すコクと甘じょっぱさが味の芯になる。ナッツ類も宮保鶏丁ほど必須ではなく、山東の料理人のレシピではくるみを合わせるものもある。
- 醤の選び方:北方の本場レシピでは、塩気と豆の香りが強い黄醤(乾黄醤・鮮黄醤)を主役にするものが多い。家庭向けレシピでは甜面醤に豆瓣醤を合わせる配合も見られるが、今回は黄醤を主体に甜面醤で甘みと照りを補う組み立てにした。
- 「醤を炒める」工程の重さ:日本の鶏肉の味噌炒めは、合わせ調味料を最後にからめて仕上げることが多い。醤爆は、先に醤だけを弱火でじっくり炒めて水分を飛ばし、油と醤が分離するまで香りを引き出してから具を入れるのが最大のポイント。ここを省くと、醤の生っぽい匂いが残ってしまう。
- 油通し:本場では鶏肉を低めの温度の油にくぐらせて(滑油)から炒め合わせる。これにより鶏肉が驚くほど柔らかく仕上がる。
参考ページ(写真)
美食天下の「【鲁菜】----酱爆鸡丁」レシピページに、下ごしらえから仕上げまでの手順写真が掲載されています。
(https://home.meishichina.com/recipe-27337.html)
代用可能な食材
- 黄醤(黄豆醤):入手できない場合は、八丁味噌などの豆味噌で代用可(色が濃く、やや渋みが出るため砂糖を2g増やす)
- 甜面醤:味噌大さじ1+砂糖小さじ1で代用可
- 黄酒:日本酒で代用可
- 鶏もも肉:鶏むね肉でも作れる(その場合は下味の卵白と片栗粉を省かず、油通しを短めにする)
保存・アレンジのコツ
- 作りたてが一番おいしい。残った場合は冷蔵で翌日まで。温め直すときはフライパンで水小さじ1を加えて手早く炒めると、醤が固まらずにつやが戻る
- きゅうりの代わりに、から炒りしたくるみや落花生を合わせると、宮保鶏丁と食べ比べるのにぴったりの「山東版」になる
- たけのこ、にんじん、ピーマンを同じ大きさの角切りにして加えると、彩りのよい家庭版になる
出典
- 新華網『環球』「酱爆鸡丁与宫保鸡丁」
- 美食天下「【鲁菜】----酱爆鸡丁」レシピ
- 美食天下「酱爆鸡丁」レシピ
- 什么值得买「大厨分享,百年鲁菜经典酱爆鸡丁地道做法」
- 生命時報「宫保鸡丁,川鲁贵都在“争”」
- 成都博物館「宫保鸡丁的公案」
本文は上記の情報源を参考に、独自に再構成・翻訳したものです。