台湾料理胡椒餅

胡椒餅(フージャオビン)レシピ本場台湾の配合を徹底解説

木の台にのせたごまをまぶした胡椒餅と、割って中の肉あんが見える胡椒餅を描いたイラスト
地域
台湾料理・台菜
分量
6個分・3〜4人分
公開

この記事はAmazonアソシエイトのリンクを含みます。

台北の夜市で行列の先にあるのは、大きなドラム缶のような窯だ。職人が窯の内壁に生地をぺたぺたと貼り付け、数分後に火ばさみで一つずつはがしていく。胡椒餅は、ごまをまとった香ばしい皮の中に、黒こしょうの効いた豚肉とたっぷりの青ねぎが詰まった焼き饅頭だ。

ところがこの「胡椒餅」という名前、実は聞き間違いから生まれたという説がある。聯合新聞網の記事によれば、原型は福建・福州の炭火焼きの「葱肉餅」で、もともとは「福州餅」と呼ばれていた。福州方言の「福州餅」が「胡椒餅」と聞こえやすかったこと、そして具に胡椒をたっぷり使うことから、いつしか具の特徴そのものが名前になったとされる。中文版ウィキペディアも、早期は「福州餅」と呼ばれ、その音から「胡椒餅」になったと記している。

台湾で大流行したのは1980年代からで、福州にルーツを持つ店が多い。台湾版は本家よりも胡椒を強く効かせ、老麺(発酵生地)の技法を取り入れるなど、独自に進化してきた。

とはいえ家庭にドラム缶の窯はない。そこで本記事では、窯の「内壁に貼り付けて焼く」効果を、オーブンと予熱した天板で再現する方法に落とし込んだ。ここから先は、台湾の複数のレシピを比較して割り出した、家庭のオーブン版の配合と手順を公開する。

本場の配合

材料(6個分・3〜4人分)

あん

  • 豚ひき肉(肩ロース、脂3:赤身7)300g
  • にんにく(すりおろし)5g
  • 醤油15ml
  • 砂糖8g
  • 米酒10ml
  • 粗挽き黒こしょう6g
  • 白こしょう2g
  • 五香粉1g
  • ごま油10ml
  • 塩4.5g(小さじ3/4程度)
  • 青ねぎ(小ねぎ、小口切り)100g

皮(発酵生地)

  • 中力粉200g
  • 砂糖10g
  • ドライイースト2g
  • 水115ml
  • サラダ油10ml

油酥(ヨウスー)

仕上げ

  • はちみつ5g
  • 水(はちみつを溶く用)15ml
  • 白ごま15g

作り方

  1. あんを作る。ボウルに豚ひき肉・にんにく・醤油・砂糖・米酒・黒こしょう・白こしょう・五香粉・塩を入れ、粘りが出るまで2分練る。ごま油を加えて混ぜ、冷蔵庫で1時間以上(できれば一晩)冷やす。青ねぎは別にしておく。

  2. 皮を作る。ボウルに水115ml・砂糖・ドライイーストを入れて溶かし、中力粉を加えて混ぜる。まとまったらサラダ油を加え、表面がなめらかになるまで8分こねる。ラップをかけて常温で45分発酵させる。

  3. 油酥を作る。薄力粉60gとラード30gを練り合わせ、6等分して丸め、冷蔵庫で冷やしておく。

  4. 発酵した生地のガスを抜き、6等分(1個約55g)して丸める。1個ずつ手のひらで広げて油酥を1個のせ、包んで口を閉じる。

  5. 閉じ目を上にして麺棒で縦長の楕円(約15cm)にのばし、手前からくるくる巻く。90度向きを変えて再び縦長にのばし、もう一度巻く。この「のばして巻く」を2回行うことで、焼いたときに皮が層になってサクサクになる。ラップをかけて20分休ませる。

  6. オーブンに天板を入れたまま250℃に予熱する(20分以上)。

  7. 休ませた生地を直径13cmの円形にのばし、中央にあん(1個約55g)をのせ、その上に青ねぎ(1個約16g)をこんもりのせる。周りの皮を寄せてひだを作りながら包み、しっかり閉じる。

  8. 閉じ目を下にして手で軽く押さえ、高さ3cmほどの平たい円形に整える。はちみつを水15mlで溶いたものを表面に塗り、白ごまを押し付けるようにまぶす。

  9. オーブンシートにのせて熱い天板にすべらせるように移し、220℃に下げて25分焼く。途中15分で天板の前後を入れ替える。底面にしっかり焼き色がつき、表面がこんがりしたら完成。

  10. 焼きたては中の肉汁が非常に熱いので、少し冷ましてから端をかじり、湯気を逃がしながら食べる。

本場と日本の違い

  • 窯の内壁に貼り付けて焼く:台湾の専門店では、底に炭火を焚いた円筒形の窯の内側に生地を貼り付けて焼く。高温の壁に直接触れた面はカリッと、中は蒸し焼き状態になる。家庭では予熱した天板に生地を直接のせることで、底面に強い熱を当てて近い食感を出す。
  • 皮の層:台湾版は発酵生地(水油皮)に油酥を包み込む「破酥」の手法で、ほろほろと崩れる層を作る。ふっくらした饅頭のような皮を想像すると驚くほど、表面はサクッと割れる。
  • 胡椒の強さ:福州の原型の葱肉餅に比べ、台湾版は胡椒をはるかに強く効かせるのが特徴とされる。黒こしょうはあん300gに対して6gと、日本の感覚ではかなり多めだが、これが本場の味だ。

参考ページ(写真)

愛料理の「胡椒餅 by 廚房女漢子Rita's」レシピに、層を作る工程から焼き上がりまでの写真が掲載されています。

(https://icook.tw/recipes/242802)

代用可能な食材

  • ラード:サラダ油25gで代用可(台湾の植物油版レシピもある。層はやや軽い食感になる)
  • 米酒:日本酒で代用可
  • 青ねぎ:九条ねぎや万能ねぎでよい。長ねぎの場合は青い部分を多めに使う
  • 中力粉:薄力粉100g+強力粉100gで代用可

保存・アレンジのコツ

  • 焼いた胡椒餅は1個ずつラップで包んで冷凍で2週間保存可能。凍ったままオーブントースターで10〜12分、途中でアルミホイルをかぶせて焦げを防ぎながら温め直す
  • あんは一晩寝かせると味がなじみ、青ねぎから出る水分も少なく包みやすい
  • あんに刻んだ豚バラ肉を加えると、よりジューシーな専門店風になる

出典

本文は上記の情報源を参考に、独自に再構成・翻訳したものです。