台湾料理鼎邊趖

鼎邊趖(ティンピンソー)レシピ本場台湾の配合を徹底解説

器のスープに米の膜を切った平たい具、豚肉、椎茸、金針菜、青ねぎを浮かべた鼎邊趖のイラスト
地域
台湾料理・台菜
分量
2人分
公開

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「鼎」は台湾語で中華鍋、「邊」はそのふち、そして「趖(ソー)」は、虫や蛇がにょろにょろと這うように動くさまを表す台湾語だ。熱した鍋のふちに米のとぎ汁のような米漿(ライスミルク)を回し流すと、鍋肌で固まりながらゆっくりと滑り落ちていく。その動きをそのまま料理名にしたのが、基隆の廟口夜市の名物・鼎邊趖である。

ルーツは海の向こうの福建・福州にある。福州では同じ料理を「鼎邊糊」と呼び、立夏の日に家族や近所で作って食べる「做夏」の習わしがあったという。明末に李自成が民間に逃れていた折、人々が鼎邊糊でもてなしたという伝説も語り継がれているが、これはあくまで伝承だ。愛料理生活誌の解説によれば、福州・馬祖の鼎邊糊が煮立ったスープの鍋に直接米漿を流して鏟でスープに落とすのに対し、台湾の鼎邊趖は別の鍋で米漿の膜を焼き蒸しにし、冷ましてから切り分けて羹(とろみスープ)に入れる。同じ料理から枝分かれした、いわば兄弟の関係だ。

台湾に根付いたのは福州から渡った人々によってで、基隆廟口の老舗の一つは、福州から移り住んだ一家が始めた店として知られている。港町・基隆らしく、エビや魚のすり身の羹、金針菜、椎茸、するめなどを合わせる具だくさんのスープになった。

ここから先は、台湾の複数のレシピを比較して割り出した、家庭のフライパンで米の膜から作る鼎邊趖の配合と手順を公開する。

本場の配合

材料(2人分)

米漿(米の膜)

スープ

  • 豚ロース肉(細切り)100g
  • 醤油(豚肉の下味用)5ml
  • 片栗粉(豚肉の下味用)3g
  • 干し椎茸水150mlで戻す2枚(4g)
  • 金針菜(乾燥)水200mlで戻す10g
  • きくらげ(戻したもの、細切り)30g
  • たけのこ水煮(細切り)50g
  • にんじん(細切り)30g
  • 紅蔥頭(エシャロット、薄切り)15g
  • ラード(炒め用)10g
  • 水650ml
  • 椎茸の戻し汁150ml
  • 鶏がらスープの素(顆粒)6g
  • 醤油10ml
  • 塩5g(小さじ1弱)
  • 白こしょう1g
  • セロリの葉と茎みじん切り、台湾の芹菜の代わり10g

作り方

  1. 干し椎茸を水150mlで30分戻して薄切りにする(戻し汁は取っておく)。金針菜は水200mlに10分浸けて戻し、固い根元を切り落とす。豚肉に醤油5mlと片栗粉3gをもみ込む。

  2. 米漿を作る。ボウルに在來米粉・片栗粉を入れ、水220mlを少しずつ加えてダマがないように溶く(粉が沈むので、焼く直前に毎回よく混ぜる)。

  3. 直径26cmのフッ素樹脂加工のフライパンを中火で熱し、ラード3gを全体に塗る。米漿の4分の1量(約80ml)をフライパンのふち近くから円を描くように回し入れ、鍋肌を伝って中央へ流れ落ちるようにして全体に薄く広げる。

  4. ふたをして中火で1分30秒蒸し焼きにし、表面が半透明に固まったら、へらではがして皿に取り出す。同様にあと3枚焼く(ラードは1枚につき3g)。

  5. 焼いた膜は5分冷ましてから、3cm×5cmくらいの大きさに切る。

  6. 鍋にラード10gと紅蔥頭を入れて中弱火で2分炒め、香りが立ってきつね色になったら椎茸を加えて30秒炒める。豚肉を加えて色が変わるまで炒める。

  7. 水650ml・椎茸の戻し汁150ml・鶏がらスープの素・醤油10mlを加えて強火で煮立て、たけのこ・にんじん・きくらげ・金針菜を加えて中火で5分煮る。

  8. 5の米の膜を加えて2分煮て、膜がつるんと柔らかくなったら塩5gと白こしょうで味を調える。

  9. 器に盛り、セロリを散らす。

本場と日本の違い

  • 福州の鼎邊糊との違い:福州・馬祖の鼎邊糊は、煮立ったスープの鍋のふちに直接米漿を流し、半熟の膜をそのままスープに落として作るため、スープにも米のとろみが出る。台湾の鼎邊趖は、膜を別に焼き蒸しして冷ましてから切るため、よりもちっと弾力のある食感になる。
  • 羹の文化と結びついた:基隆では、エビのすり身の蝦仁羹や豚肉の肉羹、するめなどを合わせる店が多く、港町らしい海鮮の香りが加わる。台南の安平では、虱目魚(サバヒー)の骨でとったスープや牡蠣を合わせるレシピもある。
  • 日本では珍しい米の麺状食材:見た目はきしめんや水餃子の皮に似ているが、小麦粉ではなく長粒米の米粉なので、つるっとした口当たりと米の香りが特徴。日本の台湾料理店でもメニューに載ることはまれで、現地で食べる料理の代表格といえる。

参考ページ(写真)

愛料理の「阿母的鼎邊銼」レシピに、鍋のふちに米漿を流す工程と仕上がりの写真が掲載されています。

(https://icook.tw/recipes/151855)

代用可能な食材

  • 在來米粉:日本の上新粉で代用可(膜がやや柔らかくなるので、焼き時間を30秒延ばす)
  • 金針菜:えのきだけ30gで代用可
  • ラード:サラダ油で代用可(香りはやや控えめになる)
  • 紅蔥頭:市販の油蔥酥(フライドエシャロット)10gを仕上げに散らしてもよい

保存・アレンジのコツ

  • 焼いた米の膜は、切る前の状態でラップに包めば冷蔵で翌日まで保存可能。スープに入れて温め直すと柔らかさが戻る
  • 基隆風にするなら、スープに市販のえびのすり身(または魚のすり身)100gをスプーンで落として加え、水溶き片栗粉(片栗粉10g+水20ml)でとろみをつける
  • 台南の安平風なら、豚肉の代わりに白身魚の切り身100gと牡蠣60gを入れ、仕上げに小松菜を加える

出典

本文は上記の情報源を参考に、独自に再構成・翻訳したものです。