台湾料理花枝羹

花枝羹(イカのとろみスープ)レシピ本場台湾の配合を徹底解説

器のとろみスープに切り目を入れたイカ、すり身団子、きくらげ、にんじん、たけのこ、香菜を浮かべた花枝羹のイラスト
地域
台湾料理・台菜
分量
4人分
公開

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台湾の小吃店の看板でよく見かける「羹」の字。台湾では「焿」と書かれていることも多いこの料理は、ただのスープではない。

台湾の作家・魚夫氏のコラムによれば、美食作家の韓良露は「羹は濃く、湯は澄んでいる」と両者を区別した。とろみをつけることを台湾語では「牽羹」といい、台湾の肉羹についての最も古い記録は、1914年の『黄旺成日記』にある夕食で「肉羹」を食べたという記述だという。

その羹の中でも人気が高いのが、花枝(コウイカ)を主役にした花枝羹だ。台湾の大紀元の記事は、花枝羹を「島のどこでも見かける小吃」と紹介し、台南のものは他の地域より甘めだと書く。台南の人気店では、ひと口大の花枝に魚のすり身をまとわせてゆで、かつお節(柴魚)とたけのこでとった甘みのある出汁に浮かべる。1982年創業の台南の老舗のように、すり身の「浮水」と、下味をつけた花枝を揚げる「紅燒」の2種類を出す店もある。北部では、新北市・三重で1968年から続く店が花枝羹と炒米粉(焼きビーフン)の2品だけで行列をつくり、この2つを一緒に注文するのが定番だ。

いわゆる「イカのスープ」との一番の違いは、この「すり身をまとわせたイカ」。ぷりぷりのイカと、ふんわり弾むすり身の二重の食感が、とろみスープの中で際立つ。

ここから先は、台湾の複数の食譜を比較して割り出した、家庭で作れる花枝羹の配合と手順を公開する。

本場の配合

材料(4人分)

花枝(イカ)の下ごしらえ

  • コウイカまたはモンゴウイカ。皮をむいた正味300g
  • 米酒または日本酒大さじ1(15ml)
  • 白こしょう0.3g(小さじ1/8弱)
  • 魚のすり身(白身魚、市販品)150g

スープ

  • 水1,000ml
  • かつお節(柴魚)15g
  • たけのこ(水煮、細切り)100g
  • 木耳(水で戻したもの、細切り)30g
  • にんじん(細切り)50g
  • 醤油大さじ2(30ml)
  • 砂糖15g
  • 塩4.5g(小さじ3/4)
  • 水溶き片栗粉片栗粉30g
    +水60ml

仕上げ

  • 烏醋(台湾黒酢)20ml
  • ごま油小さじ1(5ml)
  • 油蔥酥(揚げ紅蔥頭)10g
  • パクチー(香菜。ざく切り)10g
  • 白こしょう0.5g(小さじ1/4弱)

作り方

  1. コウイカは皮と薄膜をむき、内側に格子状の浅い切り目を入れてから、2cm×4cmほどのひと口大に切る。米酒大さじ1と白こしょう0.3gをもみ込んで10分置き、キッチンペーパーで水気をしっかり拭く。

  2. ボウルに魚のすり身150gを入れ、ゴムべらで1分ほど練って粘りを出す。1のイカを加え、1切れずつすり身がまんべんなく薄くまとわりつくように混ぜる。

  3. 鍋に水1,000mlを入れて40℃ほど(指を入れて温かいと感じる程度)に温め、2のイカを1切れずつ落とし入れる。中火にかけ、沸騰してすり身が浮き上がってきたら2分ゆでて網じゃくしで取り出す。ゆで汁はスープに使うので捨てない。

  4. ゆで汁を再び沸騰させて火を止め、かつお節15gを入れて3分置き、ざるでこす。

  5. こしたスープを鍋に戻して中火にかけ、たけのこ・木耳・にんじんを入れて3分煮る。醤油大さじ2・砂糖15g・塩4.5gを加えて溶かす。

  6. 水溶き片栗粉をよく混ぜ直し、スープをかき混ぜながら少しずつ回し入れる。とろみがついたら3のイカを戻し入れ、1分温める。

  7. 火を止めて烏醋20ml・ごま油小さじ1を加え、器に盛る。油蔥酥・パクチー・白こしょう0.5gを散らして完成。

本場と日本の違い

  • 「すり身をまとわせたイカ」が主役:日本でイカのスープといえば、イカをそのまま煮る料理が多い。花枝羹は花枝に魚のすり身をまとわせてゆでるため、イカの歯ごたえとすり身の弾力が一緒に楽しめる。すり身のゆで汁と、かつお節とたけのこの出汁がそのままスープのうま味になる。
  • とろみは「羹」の証:日本の中華スープのとろみは、かき玉汁のように軽いものが多い。台湾の羹はスプーンですくってもったりするほどの濃いとろみで、具とスープを一緒に口に運ぶ食べ物。麺やビーフンを入れて「花枝羹麵」「花枝羹米粉」にもする。
  • 台南は甘め、酢で味を締める:台南の花枝羹は他の地域より甘めとされる。卓上の烏醋を少しずつ足して、甘みと酸味のバランスを自分好みにして食べるのが台湾流。
  • 「生炒花枝羹」は別系統:台湾には、すり身を使わずに花枝とたけのこを強火で炒め、砂糖と烏醋で甘酸っぱく味つけしてとろみをつける「生炒花枝羹」もある。九層塔の香りが特徴で、今回のすり身タイプとは味の方向性が異なる。

参考ページ(写真)

愛料理(icook)の「手工花枝漿羹湯」レシピページに、すり身を落としてゆでる手順と仕上がりの写真が掲載されています。

(https://icook.tw/recipes/406698)

代用可能な食材

  • コウイカ:冷凍のモンゴウイカ(紋甲イカ)もコウイカの仲間で、厚みがあって向いている。スルメイカでも作れるが、身が薄いのでゆで時間を1分に短くする
  • 魚のすり身:台湾の老舗では金線魚(イトヨリダイ)のすり身が使われ、旗魚(カジキ)や鱈のすり身もすすめられている。日本のスーパーの「魚のすり身」(スケトウダラなど)で十分。手に入らない場合は、はんぺん150gをフードプロセッサーで練り、片栗粉小さじ2(6g)を混ぜたもので代用できる
  • 烏醋:入手できない場合は、黒酢15ml+ウスターソース5mlで香りを近づける
  • 油蔥酥:市販のフライドエシャロット、またはフライドオニオン10gで代用可
  • 米酒:日本酒で代用可

保存・アレンジのコツ

  • すり身をまとわせてゆでたイカ(手順3まで)は、冷ましてから冷凍で2週間保存できる。凍ったままスープに入れて温め直せばよい
  • とろみのついたスープは冷蔵で翌日まで。温め直すととろみがゆるむので、水溶き片栗粉(片栗粉小さじ1+水小さじ2)で調整する
  • ゆでた中華麺やビーフン(1人分100g)を入れれば「花枝羹麵」「花枝羹米粉」に。三重の老舗のように、焼きビーフンを添えるのもおすすめ
  • 台南以外の甘さ控えめの味にするなら砂糖を5gに減らす。仕上げに揚げにんにく(蒜酥)5gを散らしても香ばしい

出典

本文は上記の情報源を参考に、独自に再構成・翻訳したものです。