台湾料理棺材板

棺材板レシピ本場台南の配合を徹底解説

揚げた角形のパンの箱に、えび・イカ・グリーンピース・にんじん入りのクリームを詰めた棺材板のイラスト
地域
台湾料理・台菜
分量
2人分
公開

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「棺材」——文字どおり「棺桶」を意味するこの物騒な名前を持つ料理に、台南では観光客も行列を作るというから面白い。考案したのは、日本統治時代から台南の屋台で点心を売っていた許六一という人物。戦後、南洋で覚えた西洋料理の調理法をもとに、旧・沙卡里巴(現在の康楽市場)で新しい商売を始めた。1950年に朝鮮戦争が勃発し米軍顧問団が台湾に駐留すると洋食が一気に広まり、許は鶏レバーと野菜をクリーム状のソースで和え、揚げたトーストの箱に詰めた一品を考案して「鶏肝板」と名付けた。これがのちの棺材板の原型である。名前の由来には諸説あり、台湾大学の考古学調査隊が店を訪れた際に教授が「発掘中の石板棺にそっくりだ」と評したことから改名されたという説や、単に「鶏肝板」という名前が覚えにくかったためという説が伝わる。縁起を担いで台湾語で同音の「官財板」(出世して財を成す)と呼ぶ店もある。当初は鶏レバー中心だった具材も、時代とともに鶏胸肉・エビ・イカへ、さらにカレーやチーズベーコンなどの創作系へと変化してきた。ここから先は、中国語の複数レシピを比較して割り出した、本場台南の配合と手順を公開する。

本場のレシピ

材料(2人分)

  • 食パン未カットの1斤から厚さ4cmに2枚切り出す300g(2枚分)
  • 豚こま切れ肉(一口大に切る)80g
  • むきえび60g
  • イカ(輪切り)60g
  • にんじん(さいの目切り)30g
  • 冷凍グリーンピース20g
  • バター20g
  • 小麦粉20g
  • 牛乳200ml
  • 鶏がらスープの素(顆粒)1.5g(小さじ1/4弱)
  • 水100ml
  • 塩8g(小さじ1と1/2程度)
  • 白胡椒1g(小さじ1/4)
  • 揚げ油鍋に深さ5cm程度約1000ml

作り方

  1. 食パンは厚さ4cmに2枚切り出す。上面に一段薄く切り込みを入れ、後で蓋として外せるようにしておく。

  2. 揚げ油を鍋に入れ180℃に熱し、食パンを全体が均一なきつね色になるまで返しながら3〜4分揚げる。油をよく切って粗熱を取る。

  3. 揚げたパンの上面の蓋を切り取り、中身をスプーンでくり抜いてポケット状にする(くり抜いたパンくずは取っておき、とろみ調整に使ってもよい)。

  4. 豚肉・えび・イカは一口大に切り、沸騰した湯でさっと下茹でして水気を切る。にんじん・グリーンピースも下茹でしておく。

  5. フライパンにバターを溶かし、小麦粉を加えて粉っぽさがなくなるまで弱火で1〜2分炒める(ルウを作る)。

  6. 水で溶いた鶏がらスープの素と牛乳を少しずつ加えながら泡立て器で混ぜ、だまにならないようとろみがつくまで中火で煮る。

  7. 下茹でした豚肉・えび・イカ・にんじん・グリーンピースを加え、塩・白胡椒で味を調え、クリームシチュー状になるまで2〜3分煮詰める。

  8. 揚げたパンのポケットにクリームシチューを詰め、蓋をのせて完成。切り分けてナイフとフォークでいただく。

本場と日本の違い

  • そもそもの認知度:棺材板は台南以外の台湾でもあまり見かけない、台南のご当地グルメという位置づけ。日本ではまだほとんど知られておらず、専門に扱う店はない。
  • 具材の変遷:原型は鶏レバーが主役だったが、現在の主流は鶏肉・エビ・イカを合わせたクリームシチュー。発祥店の「赤崁棺材板」は今も原味とカレー味の2種類のみを守っているが、近年はチーズベーコンやキムチなど創作系のバリエーションを出す店も多い。本レシピは家庭で再現しやすい「鶏肉・エビ・イカ」の定番版とした。
  • 食べ方の作法:本場では揚げたパンの蓋を先に食べ、その後ナイフとフォークでトーストを8等分ほどに切り分けて食べるのが定番の作法とされる。日本の洋食のシチューパンのように手づかみでかぶりつく料理ではない。
  • ソースの位置づけ:本場のクリームソースは牛乳と小麦粉ベースのシンプルなホワイトソースが基本形で、生クリームを使う店もあるが、日本の濃厚なクラムチャウダーやグラタンソースほど乳脂肪分は高くない。

参考ページ(写真)

愛料理(iCook)の「棺材板 by 阿卿-輕鬆學料理鄧正中老師指導」レシピページに、パンを揚げる工程からクリームシチューを詰めるまでの手順写真が掲載されています。

https://icook.tw/recipes/254545

代用可能な食材

  • 食パン:日本の一般的な角食パン(4〜5枚切り)で代用可。ボリュームを出したい場合は2枚重ねて揚げてもよい
  • むきえび・イカ:シーフードミックス(冷凍)でまとめて代用可
  • 牛乳:豆乳や生クリーム(牛乳の半量を置き換える程度)でコクを出す代用も可
  • 原型に近づけたい場合:鶏肉の一部を鶏レバー(下処理して臭みを取ったもの)に置き換えると、発祥当時の味に近くなる

保存・アレンジのコツ

  • クリームシチューの具材は冷蔵で2日、冷凍で2週間程度保存可能。食べる直前に温め直し、揚げたてのパンに詰めると食感が損なわれにくい
  • パンは揚げてから時間が経つと油っぽく・しんなりしやすいので、食べる直前に揚げるのがおすすめ
  • カレー粉を小さじ1ほどソースに加えると、発祥店の看板メニューのひとつ「咖哩棺材板(カレー味)」風にアレンジできる

出典

本文は上記の情報源を参考に、独自に再構成・翻訳したものです。