福建料理・闽菜醉排骨

酔排骨レシピ本場福建・福州の配合を徹底解説

皿に盛った赤いたれをまとう骨付きのスペアリブと、白い角切りの具のイラスト
地域
闽菜(福建・福州)
分量
2〜3人分
公開

この記事はAmazonアソシエイトのリンクを含みます。

「酔っぱらいのスペアリブ」という名前なのに、福州の酔排骨はお酒の味がほとんどしない。カリッと揚げた骨付き肉に、にんにくの効いた甘酸っぱいたれをまとわせた、福州の年越しの定番料理だ。

名前の由来には諸説ある。成都新東方烹飪学校の解説では、香りがあまりに豊かで人を「陶酔」させるから酔排骨と呼ぶとされる。一方、福州の地域文化サイト「閩都在線」は、福州料理でいう「酔」とは、仕上げた料理をあらかじめ調合したたれとよく和える技法そのものを指すと説明している。さらに、酔蟹のように、火を入れないたれを揚げたての肉にかけて「漬け込む」ように仕上げることから来たという見方もある。

閩都在線によれば、酔排骨は福州十邑(福州とその周辺の県)を中心に親しまれ、その格は福州の名菜・茘枝肉に次ぐとされる。年越しや祝い事の時期には、福州のほとんどの家庭で作られるという。

本サイトでは以前、同じ福州の甘酢料理「茘枝肉」と、江蘇の「甘酢スペアリブ(糖醋排骨)」を紹介した。茘枝肉が紅糟で下味をつけ、ケチャップ入りのとろみあんで仕上げる料理、江蘇式が「煮てから煮詰める」料理なのに対し、酔排骨は骨付き肉を衣揚げにし、とろみのない合わせだれをまとわせる。細かな違いはこの先で比べる。

ここから先は、中国語の複数レシピを比較して割り出した、福州の配合と手順を公開する。

本場の配合

材料(2〜3人分)

肉と下味

  • 豚スペアリブ(軟骨付きの小ぶりなもの)500g
  • 塩1.5g(小さじ1/4)
  • 生抽8ml
  • 米酢5ml
  • 白こしょう0.5g
  • 卵黄1個分(約18g)
  • さつまいもでんぷん(地瓜粉)40g

具

合わせだれ

  • にんにく(みじん切り)10g
  • 砂糖25g
  • 米酢25ml
  • 生抽10ml
  • 料理酒黄酒または日本酒10ml
  • 水15ml
  • 白こしょう0.3g
  • ごま油3ml
  • 長ねぎ(みじん切り)10g

揚げ油

  • 揚げ油うち15mlを仕上げに使う600ml

作り方

  1. スペアリブは3cm大に切り分け、水に30分浸けて血抜きし、水気をしっかり拭く。

  2. 1に塩1.5g・生抽8ml・米酢5ml・白こしょう0.5gを加えてよく揉み込み、20分置く。卵黄を加えて混ぜ、さつまいもでんぷん40gを全体にまぶして、表面に粉がしっかり付くよう手で押さえる。

  3. くわいは縦半分に切り、水気を拭く。

  4. 合わせだれを作る。にんにく10gと砂糖25gをボウルに入れて混ぜ、砂糖がにんにくの水分でしっとりするまで置いてから、米酢25ml・生抽10ml・料理酒10ml・水15ml・白こしょう0.3g・ごま油3mlを加えて砂糖が溶けるまで混ぜる。

  5. 揚げ油600mlを160℃に熱し、2の肉をほぐしながら入れて4〜5分、中まで火が通るまで揚げて取り出す。

  6. 油を180℃に上げ、肉を戻して1分二度揚げし、表面をカリッとさせる。続けてくわいを30秒素揚げして取り出す。

  7. 鍋の油を15mlだけ残して他は除く。弱火にして4の合わせだれを注ぎ、ふつふつと泡立ったらすぐに6の肉とくわいを戻し入れ、火を止めて手早く全体にたれをからめる(たれにはとろみをつけない)。

  8. 器に盛り、長ねぎ10gを散らす。

本場と日本の違い

  • 茘枝肉との違い:同じ福州の甘酢料理でも、茘枝肉は骨なしのヒレ肉に格子状の切り込みを入れ、紅糟で下味をつけ、ケチャップ入りの甘酢あんを片栗粉でとろりと絡める。酔排骨は骨付き肉を使い、紅糟もケチャップも使わず、とろみのない酢・砂糖・にんにくの合わせだれを揚げたてにまとわせる。
  • 甘酢スペアリブ(江蘇の糖醋排骨)との違い:江蘇式は肉を煮てから煮汁を煮詰めて照りを出す「煮る」料理。酔排骨は衣をつけて「揚げる」のが主役で、たれは最後に絡めるだけ。カリッとした衣の食感と、たれの生っぽいにんにくの香りが残るのが特徴。
  • 日本の酢豚との違い:日本の酢豚は野菜と一緒にケチャップ系の甘酢あんでまとめることが多いが、酔排骨は野菜をほとんど入れず、くわいなど少量の具を添える程度。
  • たれを火にかけるかどうか:福州の家庭でも、たれを鍋でさっと沸かしてから絡める派と、火を通さないたれを揚げたての肉にかけるだけの派がある。本記事は前者で、にんにくの辛みを少し和らげている。

参考ページ(写真)

新浪ブログの「福州醉排骨」の記事に、下味から二度揚げ、たれを絡めるまでの手順写真が掲載されています。

(https://blog.sina.com.cn/s/blog_6aa951540103023z.html)

代用可能な食材

  • さつまいもでんぷん(地瓜粉):片栗粉で代用可(衣のごつごつ感はやや弱くなる)
  • くわい:れんこんの角切りで代用可。本場の家庭ではじゃがいもを揚げて添えることもある
  • 米酢:穀物酢で代用可(酸味がやや鋭くなるので、砂糖を3g増やす)

保存・アレンジのコツ

  • 衣が湿気るので、たれを絡めたらすぐに食べるのがいちばん。作り置きする場合は、揚げた肉とたれを別々に保存し(肉は冷凍で2週間)、食べる直前に揚げ直してから絡める
  • 合わせだれは多めに作って冷蔵しておけば、鶏の唐揚げや揚げ魚にも使える

出典

本文は上記の情報源を参考に、独自に再構成・翻訳したものです。