新疆・西北料理・西北菜新疆手抓饭

新疆手抓飯(手抓飯)レシピ本場ウイグルの配合を徹底解説

青い皿の黄色いご飯にレーズンと細切りにんじんを散らし、骨付き羊肉をのせた手抓飯のイラスト
地域
西北(新疆)
分量
2人分・目安
公開

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新疆の抓飯(ウイグル語ではポロ)には、約千年前にまでさかのぼるとされる由来の伝説がある。中央アジアの医学者アブ・アリ・イブン・シーナ(イブン・スィーナー)が晩年に体を弱らせ、薬を飲んでも効果がなかったため、羊肉・にんじん・玉ねぎ・油・羊の脂・米を塩水でじっくり煮込む食事療法を考案したという。半月ほどこの食事を続けたところ体調が快復し、周囲の人々を驚かせたと伝えられている。この逸話の真偽は定かではないが、にんじんが「小さな人参」と呼ばれるほど栄養価が高いとされてきたことと合わせて、抓飯が単なる主食ではなく「体に効く米料理」として扱われてきた背景がうかがえる。

「抓飯(抓るご飯)」という名前は、調理法ではなく食べ方に由来する。伝統的には、主人が客人に手を洗わせたのち、敷物の上に大皿を並べ、客が直接手でつかんで食べる形式が取られてきた。この食習慣は今日でもウイグル族の家庭やバザールの食堂に色濃く残っており、観光客向けの店では今もスプーンを添えずに大皿のまま供されることがある。

中央アジア一帯(ウズベキスタンなどの「プロフ/オシュ」)に広く分布する米料理の一族の東端に位置するのが新疆の抓飯で、羊肉・にんじん・玉ねぎを油でしっかり炒めてから米を炊き込む基本構造は共通している。新疆国内でも地域や家庭によって、皮牙子(玉ねぎ)を先に飴色まで炒める店、羊の脂身をラードのように使う店、レーズンや干し杏を加える店など細部の流儀が分かれる。

いずれの流儀にも共通しているのは「炒める→煮る→蒸らす」という三段階の工程で、これを丁寧に守ることが本場の味の再現につながる。ここから先は、中国語の複数レシピを比較して割り出した、家庭で作れる本場の配合と手順を公開する。

本場式の配合

材料(2人分・目安)

主材料

  • 米(洗って浸水させる)300g
  • 羊肉骨付きもも肉、または羊肩ロース250g
  • にんじん新疆式に太めの細切り200g
  • 玉ねぎ薄切り150g
  • 食用油50ml
  • 塩味を見て調整小さじ2
  • クミンシード小さじ1/2
  • 生姜(薄切り)2〜3枚
  • 水またはスープ380ml

お好みで

  • レーズン20g
  • 花椒(ホール)ひとつまみ

作り方

  1. 米は洗ってから温水に30分〜2時間浸水させ、ざるに上げて水を切っておく。

  2. 羊肉は一口大に切る。骨付きの場合は軽く下茹でしてアクを除いてもよい。

  3. 鍋(できれば厚手の中華鍋や圧力鍋)に油を熱し、クミンシードと花椒を香りが立つまで炒めて取り出す(香り出しのみで、そのまま調理を続けてもよい)。

  4. 同じ油で玉ねぎをきつね色になるまでしっかり炒める。ここでしっかり甘みと香ばしさを引き出すのが本場の味の決め手。

  5. 羊肉と生姜を加え、表面の色が変わるまで中火で炒める。

  6. にんじんを加えてさらに5〜7分炒め合わせ、油をなじませる。

  7. 塩の半量を加え、水(またはスープ)を注いで沸騰させたら中火で15〜20分煮込む。

  8. 浸水させた米を鍋全体に渦を描くように均一に広げ入れ、残りの塩を振る。米を混ぜ込まないのがポイント。

  9. 蓋をして弱火で20分炊く。途中で蓋を開けず、米の表面に浅い穴を数か所開けて蒸気の通り道を作ると均一に炊き上がる。

  10. 火を止めてそのまま10分蒸らす。蓋を開けたら、下から返すように大きく混ぜ合わせて肉と米、にんじんをなじませ、皿に盛る。

本場と日本の違い

  • 日本でイメージされる「ピラフ」は米と具を最初から一緒に炒めることが多いが、本場の抓飯は肉と野菜を先にしっかり炒めて煮込み、そこに米を後から重ねて炊くという段階構造が基本。
  • 本場では羊の脂身や尾脂(羊の脂肪の塊)を使い、コクのある油で炒めるが、家庭では食用油+羊肉自体の脂で十分に近い風味が出せる。
  • 玉ねぎを「軽く炒める」のではなく、飴色近くまでじっくり炒めて甘みを引き出すのが本場の味の骨格。ここを端折ると味がぼやける。
  • 本来は大皿に盛り、手でつかんで食べる文化的な背景があるが、家庭で再現する際は普通に皿に盛って箸やスプーンで食べて問題ない。

参考ページ(写真)

下厨房の「正宗新疆手抓饭」レシピページには、玉ねぎ・羊肉・にんじんを炒める工程から、米を渦巻き状に加えて焼き込むまでの手順写真が掲載されている。 https://m.xiachufang.com/recipe/107558214/

代用可能な食材

  • 羊肉→牛すね肉や牛肩ロース(250g、脂身が少ない場合はラードを少量追加)
  • 羊の尾脂→ラードまたはオリーブオイル大さじ1を追加
  • クミンシード→クミンパウダー小さじ1/4で代用可

保存・アレンジのコツ

  • 冷蔵で2〜3日保存可能。電子レンジで温め直す際は少量の水を振りかけるとパサつきを防げる。
  • レーズンや干し杏を加えると、新疆の家庭でもよく見られる甘みのアクセントになる。
  • 羊肉の代わりに鶏肉を使う簡易版も新疆の家庭でよく作られている。

出典

本文は上記の情報源を参考に、独自に再構成・翻訳したものです。