新疆・西北料理・西北菜biangbiang面

ビャンビャン麺レシピ本場陝西・関中の配合を徹底解説

幅広の麺に唐辛子粉、にんにく、青ねぎ、青菜をのせた丼のビャンビャン麺のイラスト
地域
西北(陝西)
分量
2人分・目安
公開

この記事はAmazonアソシエイトのリンクを含みます。

ビャンビャン麺の最大の特徴は、実はレシピよりも先に「名前の漢字」にある。「biang」という字は中国の常用漢字の中でも最も画数が多い部類に入る合成文字で、部首を積み重ねた56画とも言われる複雑な造字であり、パソコンや携帯電話では変換できないため、日常的にはローマ字の「biang」で代用表記される。

この難読漢字には複数の伝承が語り継がれている。ひとつは、貧しい秀才が咸陽の麺館を訪れた際、厨房で麺が調理台に叩きつけられる音が「ビャン、ビャン」と響いていたことからこの食べ物の名がついたという説。食事代を払えなくなったその秀才は、店主と「難しい字を書けたら食事を無料にする」という取引を持ちかけられ、山河の風景や世相を織り込んだ複雑な字を即興で創作し、居合わせた客たちから大喝采を浴びたという。もうひとつの伝承では、科挙の受験に向かう途中の秀才が麺館の看板としてこの字を書き、店主から「これで状元に合格するだろう」と祝福され、実際に及第したという縁起の良い物語も伝わっている。

いずれの伝説が史実かは定かではないが、共通しているのは「麺打ちの音」と「複雑な字」という二つの要素であり、陝西省関中平原(西安を中心とする地域)の庶民の生活に根差した麺食文化の象徴として語り継がれてきた。陝西では古くから小麦の生産が盛んで、幅広の手延べ麺に唐辛子の熱した油をかけて食べる「油泼扯面」の系譜に連なる麺のひとつとされる。

日本ではまだ知名度の低いこの麺だが、幅5cm前後・厚み数ミリのベルトのような極太麺に、熱した油をジュッとかけて香りを立たせる工程は非常にインパクトが強く、一度見れば忘れられない料理だ。ここから先は、中国語の複数レシピを比較して割り出した、家庭で作れる本場の配合と手順を公開する。

本場式の配合

材料(2人分・目安)

麺生地

  • 中力粉または強力粉と薄力粉を1:1で混ぜたもの300g
  • 塩3g
  • 水150〜160ml
  • 食用油(生地の乾燥防止用)小さじ1

トッピング・タレ

  • チンゲン菜またはほうれん草1株
  • もやしひとつかみ
  • にんにく(みじん切り)2〜3片
  • 長ねぎ(小口切り)1本
  • 唐辛子粉(粗挽き)大さじ1〜2
  • 花椒粉小さじ1/2
  • 塩小さじ1/2
  • 生抽大さじ1
  • 香醋大さじ1
  • 食用油(熱く熱するもの)大さじ4

作り方

  1. ボウルに中力粉と塩を入れ、水を少しずつ加えながらまとまるまでこねる。表面がなめらかになったら濡れ布巾かラップをかけて30分休ませる。

  2. 生地を軽く2〜3分こね直し、さらに10分休ませる。

  3. 生地を6〜8等分にし、細長い棒状に伸ばしたら表面に油を薄く塗り、さらに30分休ませる(これが麺を薄く伸ばしやすくする重要な工程)。

  4. 1本ずつ手に取り、まな板の上で手で叩きながら幅5cm前後・薄さ数ミリまで伸ばす。中央に切れ目を入れて左右に引っ張るように広げると、ベルト状の極太麺になる。

  5. 大鍋にたっぷりの湯を沸かし、麺を1本ずつ入れて2〜3分ゆでる。仕上げにチンゲン菜やもやしを加えてさっと火を通す。

  6. 麺を丼に取り分け、にんにく・長ねぎ・唐辛子粉・花椒粉・塩をのせる。

  7. フライパンで食用油を煙が立つ直前まで高温に熱し、具材の上に一気にかけて「ジュッ」と香りを立たせる(油泼=ヨウポー)。

  8. 生抽と香醋を回しかけ、よく混ぜてから食べる。

本場と日本の違い

  • 日本の「幅広麺」は幅1〜2cm程度のことが多いが、本場のビャンビャン麺は幅5cm前後、ベルトのような極太・極薄の一本麺で、一杯にわずか数本しか入らないほどのインパクトがある。
  • 熱した油を具材とタレの上に直接かける「油泼」の工程が本場の味の決め手であり、油の温度が低いと唐辛子の香りが立たない。煙が出る直前まで熱するのが目安。
  • 本場では小麦粉に加水率50%前後のやや硬めの生地を使い、長時間休ませてグルテンを十分に発達させることで、あの弾力とコシが生まれる。急いで作ると硬く伸びにくい麺になりやすい。
  • スープなしで和えて食べる「拌麺」タイプの一種であり、日本の「汁あり中華麺」のイメージとは調理の方向性が異なる。

参考ページ(写真)

下厨房の「biangbiang面(油泼面❤️大碗宽面)」レシピページに、生地作りから麺を手で伸ばす工程、油をかける仕上げまでの手順写真が掲載されている。 https://m.xiachufang.com/recipe/105870078/

代用可能な食材

  • 中力粉→強力粉と薄力粉を1:1で混合(300g)
  • 唐辛子粉(粗挽き)→一般的な韓国産粗挽き唐辛子や辣椒油のベースパウダーで代用可
  • チンゲン菜→小松菜やほうれん草(1株)

保存・アレンジのコツ

  • 生地は成形前の状態でラップに包み冷蔵で半日程度保存可能。使う直前に常温に戻すと伸ばしやすい。
  • 陝西の家庭では、辣子(唐辛子)を控えめにして酢を効かせた「酸辣」寄りの味付けにするアレンジもよく見られる。
  • ゆで卵や煮豚を添えると、より満足感のある一皿になる。

出典

本文は上記の情報源を参考に、独自に再構成・翻訳したものです。