新疆・西北料理・西北菜甘肃浆水面

甘粛漿水麺レシピ本場甘粛の配合を徹底解説

白い器の淡い緑色の澄んだ漿水に幅広の麺を浸し、刻んだセロリと赤い唐辛子油をのせた漿水麺のイラスト
地域
西北(甘粛)
分量
2人分
公開

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セロリをさっと煮て甕に入れ、数日置いて自然に発酵させる。そうしてできる酸っぱい汁「漿水(浆水)」は、甘粛の人々にとって夏に欠かせない味です。この漿水をスープにした麺が漿水麺。中文版ウィキペディアは、蘭州や天水とその周辺でよく食べられる夏の主食で、冷たくて酸味があり、暑気払いになると説明しています。

漿水は甘粛のほか、青海・陝西・山西・寧夏など西北の広い地域で作られてきました。甘粛の地元メディアによれば、漿水は秦の末期に起源をもつと伝えられ、明代の李時珍の『本草綱目』にも、腹の調子を整え消化を助けるものとして記されています。天水には「天水の人が行くところには漿水の甕もついていく」という言い回しがあるほどで、各家庭では前回の漿水を「引子(たね)」として継ぎ足しながら仕込み続けます。かつては貧しい時代の主食だった漿水も、今では夏の「さっぱりする一杯」、そして故郷を思い出させる味になっています。

本サイトで以前紹介した河南・洛陽の「漿麺条」とは、名前は似ていても別物です。漿麺条は緑豆をすりつぶした汁を発酵させた「酸漿」で麺を煮込む、とろみのある料理。甘粛の漿水は野菜を麺のゆで汁や粉を溶いた湯と一緒に発酵させた、さらりと澄んだ酸っぱい汁で、ゆでた麺にかけて食べます。

ここから先は、中国語の資料とレシピを比較して割り出した、漿水の仕込みから仕上げまでの分量と手順を公開します。

本場の配合

材料(2人分)

漿水(仕込みやすい量・約1.5L分。食べる3〜5日前に仕込む)

  • セロリ(葉付き)300g
  • 水1500ml
  • 小麦粉20g
  • 小麦粉を溶く水50ml
  • 米酢(初回のたね用)30ml

漿水麺

  • 漿水800ml
  • 漿水に漬けたセロリ(漿水菜)100g
  • 手打ち麺または生の平打ち中華麺250g
  • 麺ゆで用の湯2000ml
  • 菜種油またはサラダ油20ml
  • 花椒1g
  • 長ねぎ(みじん切り)15g
  • にんにく(薄切り)10g
  • 乾燥唐辛子(細切り)3g
  • 塩8g(小さじ1と1/2程度)
  • ニラ(3cm長さ)50g
  • 菜種油(ニラ炒め用)5ml
  • 香菜5g
  • 油泼辣子15g

作り方

  1. 【漿水を仕込む】セロリは葉ごと洗い、茎は2cm長さ、葉はざく切りにする。小麦粉20gを水50mlで溶いておく。

  2. 鍋に水1500mlを沸かし、溶いた小麦粉を混ぜながら加えて再び沸騰させる。セロリを入れて1分煮て、茎の色が鮮やかな緑からやや黄緑に変わったら火を止める。

  3. 人肌(約36℃)まで冷ましてから、熱湯消毒した2L以上のガラス瓶に汁ごと移し、米酢30mlを加えて混ぜる。ふたは密閉せずに軽くのせるか、ガーゼをかぶせて輪ゴムで留める。

  4. 直射日光の当たらない室温(20〜28℃)に置き、1日1回、清潔な箸で混ぜる。3〜5日たち、汁が澄んでさわやかな酸っぱい香りになったら完成。以降は冷蔵庫で保存する。

  5. 【麺】2000mlの湯で麺を袋の表示時間どおりにゆで、ざるに上げて器に分けておく(冷たく食べる場合は冷水で締める)。

  6. 【炝漿水(漿水に香りをつける)】鍋に菜種油20mlを中火で熱し、花椒を入れて香りが出たら取り出す。長ねぎ・にんにく・乾燥唐辛子を加えて、ねぎとにんにくが薄く色づくまで30秒炒める。

  7. 漿水菜のセロリを加えてさっと炒め、漿水800mlを一気に注ぐ(ジュッと音が立つ)。塩8gを加え、沸騰直前で火を止める。

  8. 別のフライパンで菜種油5mlを熱し、ニラを30秒炒める。

  9. 5の麺に7の漿水をたっぷり注ぎ、ニラ・香菜・油泼辣子をのせる。天水風に熱々で食べるなら温かいまま、蘭州風に冷たく食べるならスープを冷蔵庫で冷やしてから注ぐ。

本場と日本の違い

  • 酸味は酢ではなく発酵から:漿水の酸味は、野菜とでん粉を乳酸発酵させて生まれるもの。酢を入れたスープとは違い、角のないまろやかな酸っぱさになる。今回の米酢は発酵を早く安全に立ち上げるための「最初のたね」で、2回目からは前回の漿水をたねにすると、より本場に近い味になる。
  • 野菜は地域と季節で変わる:甘粛では苦苣(にがみのある菜の一種)、苜蓿(うまごやし)、荠菜(なずな)などの野草や、セロリ・キャベツ・蕪(蔓菁)などを季節に応じて使い分ける。日本で手に入りやすいのはセロリとキャベツ。
  • 「汤多面少」が理想:天水では「スープが多く麺が少ない」のがよいとされる。麺を主役にしたラーメンとは逆の発想で、漿水そのものを味わう料理。
  • 地域ごとの食べ方:蘭州では花椒を揚げた油とねぎで香りをつけた冷たい漿水に、香菜と揚げた赤唐辛子をのせる。天水では炒めたニラと唐辛子を合わせ、熱々で食べることもある。

参考ページ(写真)

美食天下の「浆水&浆水面」のページに、漿水の仕込みから麺に注ぐまでの手順写真が掲載されています。

(https://home.meishichina.com/recipe-1224.html)

代用可能な食材

  • セロリ:キャベツ(300g)や白菜、小松菜でも漿水を仕込める。セロリとキャベツを半量ずつ合わせてもよい
  • 小麦粉入りの湯:うどんや手打ち麺をゆでた後のゆで汁1500mlを使うと、より本場に近い作り方になる
  • 手打ち麺:生うどんや、平打ちの生中華麺で代用可
  • 油泼辣子:市販のラー油15mlに粉唐辛子3gを混ぜたもので代用可
  • 菜種油:サラダ油や太白ごま油で代用可

保存・アレンジのコツ

  • 完成した漿水は冷蔵で2週間ほど保存できる。表面に白いカビが出たり、酸っぱい香りではなく腐敗臭がしたりした場合は使わずに処分する
  • 使い切る前に200mlほどを残しておき、次回の仕込みで米酢の代わりに加えると、発酵が早く安定する(「引子」を継ぐ)
  • 天水では、炒めたねぎと漿水菜で香りをつけた漿水に小麦粉のだんごを入れて煮る「漿水拌湯」も定番。麺の代わりに、小麦粉を水でそぼろ状にしたものを漿水で煮れば手軽に作れる

出典

本文は上記の情報源を参考に、独自に再構成・翻訳したものです。