福建料理・闽菜太平燕

太平燕(扁肉燕)レシピ本場福建・福州の配合を徹底解説

スープに浮かぶ肉燕とゆで卵に青ねぎを散らした太平燕の碗のイラスト
地域
闽菜(福建・福州)
分量
4人分・肉燕約20個
公開

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見た目はワンタンそっくりなのに、その皮まで豚肉でできている――それが福州の「肉燕(扁肉燕)」だ。赤身の豚肉を叩いてペーストにし、さつまいもでんぷんを練り込んで紙のように薄くのばした「燕皮」で、肉あんを包む。

福州の地元紙が紹介する伝承では、始まりは南宋の時代。閩北・浦城出身の高官・真徳秀の家の料理人が、方言の聞き違いから「魚丸」ではなく豚肉を叩いてしまい、機転を利かせてその肉にでんぷんを加え、薄くのばして皮にしたのが肉燕の起こりだという。1936年には作家の郁達夫が、福州で見た燕皮づくりを書き残している。

この肉燕に殻をむいたゆで鴨卵を合わせたスープが「太平燕」。福州市人民政府のサイトによれば、福州方言では卵を「卵」と呼び、鶏卵は「羈乱」と同音で縁起が悪い一方、鴨卵は「圧乱(乱を鎮める)」に通じるため、「鴨卵を食べて太平を願う」のだという。結婚式や祝いの宴では、爆竹とともにこの一碗が運ばれてくる。

本サイトでは以前、広東式の「雲呑(ワンタン)」を紹介した。雲呑の皮が小麦粉と卵の生地なのに対し、太平燕の燕皮は肉とでんぷんの生地。そして鴨卵が入って初めて「太平燕」になる。ここから先は、中国語の複数レシピを比較して割り出した、燕皮づくりから始める本場の配合と手順を公開する。

本場の配合

材料(4人分・肉燕約20個)

燕皮(約20枚分)

あん

  • 豚ひき肉(脂3:赤身7)200g
  • くわい(水煮・粗みじん切り)50g
  • 卵1/2個(25g)
  • 長ねぎ(みじん切り)10g
  • 生抽10ml
  • 料理酒黄酒または日本酒5ml
  • 塩1.5g(小さじ1/4)

スープ・仕上げ

  • 鴨卵4個
  • 豚骨スープ(無塩)1000ml
  • 蝦油(福州の魚醤)15ml
  • 塩3g(小さじ1/2)
  • セロリ(茎・みじん切り)15g
  • 小ねぎ(小口切り)5g
  • 白こしょう0.5g
  • ごま油5ml

作り方

  1. 燕皮を作る。豚もも肉は筋と脂を除いて小さく切り、冷凍庫で30分冷やして半凍りにする。フードプロセッサーに入れ、塩3gを加えて1〜2分回し、粘りの出たペーストにする(本場ではこの工程を木槌で叩いて行う)。

  2. 1に料理酒10mlを加えてさらに30秒回し、色が白っぽくなり、糊のような質感になったら、さつまいもでんぷん150gを3〜4回に分けて加え、そのつど回して全体をなじませる。重曹1gを加えて10秒回す。

  3. 台に取り出して手でこね、手にくっつかない生地にまとめる(べたつく場合は打ち粉用のでんぷんを少しずつ足す)。ラップをかけて10分休ませる。

  4. 台に打ち粉を振り、生地を2等分する。両面に打ち粉をはたきながら麺棒で1mm以下の厚さ(下が透けて見えるくらい)までのばし、8cm角に切る。重ならないように並べ、乾かないよう固く絞ったぬれ布巾をかける。

  5. あんを作る。ボウルに豚ひき肉200g・生抽10ml・料理酒5ml・塩1.5gを入れ、粘りが出るまで一方向に混ぜる。卵25gを加えてさらに混ぜ、くわい50g・長ねぎ10gを加えてざっくり混ぜる。

  6. 燕皮1枚にあんを10gほどのせ、皮の角を集めて上をきゅっと握り、裾がひらひらと開いたつぼみの形に包む。

  7. 蒸気の上がった蒸し器に、くっつかないよう間隔をあけて並べ、強火で8分蒸す(ここで8割がた火を通しておく)。

  8. 鴨卵は水から入れて火にかけ、沸騰後10分ゆでて冷水にとり、殻をむく。

  9. 鍋に豚骨スープ1000mlを沸かし、蝦油15ml・塩3gで味を調える。7の肉燕を入れて2〜3分煮、浮いてきたら8の鴨卵を加えて1分温める。

  10. 器に肉燕と鴨卵を盛ってスープを注ぎ、セロリ15g・小ねぎ5g・白こしょう0.5g・ごま油5mlを散らす。

本場と日本の違い

  • 雲呑(ワンタン)との違い:以前紹介した広東式の雲呑は、小麦粉と卵の薄い皮でえびや豚肉のあんを包む。太平燕の燕皮は豚肉とさつまいもでんぷんでできていて、つるりとした中にほのかな弾力がある。くわいを刻み込んだあんのシャキッとした食感も、雲呑にはない特徴だ。
  • 鴨卵が入って「太平燕」:肉燕にゆで鴨卵を合わせて初めて太平燕と呼ばれ、祝いの宴の定番になる。日本の中華料理店で出てくるワンタンスープに、丸ごとのゆで卵が入ることはまずない。
  • 味つけは蝦油:福州では塩の代わりに蝦油(小エビを発酵させた魚醤)でスープに塩気とうま味をつけ、セロリの香りで締めるのが定番。
  • 燕皮は乾燥品も使う:福州では乾燥させた燕皮も流通していて、家庭ではそれを湿らせて戻してから包むことも多い。手作りすると、肉の香りが残るできたての燕皮ならではの食感が楽しめる。

参考ページ(写真)

美食天下の「福州特色小吃燕皮」レシピページに、肉のペーストからでんぷんを練り込み、燕皮を薄くのばすまでの手順写真が掲載されています。

(https://home.meishichina.com/recipe-117923.html)

代用可能な食材

  • 燕皮:中国食材店や通販で乾燥燕皮(肉燕皮)が手に入れば60gで20枚分ほど。固く絞ったぬれ布巾をかけて霧吹きで湿らせ、柔らかく戻してから使う。手に入らなければ市販のワンタンの皮でも作れるが、食感は別物になる
  • さつまいもでんぷん(地瓜粉):片栗粉でも生地はまとまるが、やや硬く割れやすい
  • 鴨卵:手に入らなければ鶏卵で代用可(ただし「圧乱」の縁起は鴨卵ならでは)
  • 蝦油:タイのナンプラーで代用可(香りはやや異なる)。その場合も分量は同じ15ml
  • 豚骨スープ:無塩の鶏がらスープでも可

保存・アレンジのコツ

  • 蒸した肉燕は、冷ましてから冷凍すれば1ヶ月保存できる。凍ったまま沸騰したスープに入れて4〜5分煮ればよい
  • 切り落としや余った燕皮は細く切り、麺のようにスープに入れて食べられる
  • 生の燕皮は乾かないよう1枚ずつ打ち粉をはたいて重ね、ラップで包めば冷凍で2週間保存できる

出典

本文は上記の情報源を参考に、独自に再構成・翻訳したものです。