新疆・西北料理・西北菜宁夏羊杂碎
寧夏羊雑砕(羊もつスープ)レシピ本場寧夏の配合を徹底解説

この記事はAmazonアソシエイトのリンクを含みます。
熱々のスープに細切りの羊もつがたっぷり。表面には羊の脂で作った真っ赤な辣油が浮かび、香菜と青ねぎが散らしてある。寧夏の朝ごはんの定番が、この羊雑砕(羊杂碎)です。羊の頭・胃袋・腸・心臓・肝臓・肺などの「雑砕(もつ)」をゆでて細切りにし、もつを煮たスープで温め直して食べます。
寧夏回族自治区は、中国の少数民族である回族が多く暮らす地域です。羊雑砕はイスラムの食の決まり(清真)に沿って作られる回族の風味料理として自治区の各地で親しまれ、中でも呉忠市のものが有名で「呉忠風味羊雑砕」とも呼ばれます。民族網の紹介によれば、1994年には「全国清真名牌風味食品」にも選ばれました。起源については、敵に囲まれて食糧が尽きた軍が、捨てられていた羊の内臓を煮て飢えをしのいだのが始まりという伝説があり、その軍をチンギス・ハーンの軍とする話と党項(タングート)の人々とする話があります。いずれも伝承で、確かなことはわかっていません。
寧夏の羊雑砕を象徴する具が「面肺子」。小麦粉を水の中でもんでグルテンを洗い出したあとのでん粉の汁を、洗った羊の肺に流し込んでゆでたもので、白っぽく、やわらかさの中に弾力がある独特の食感です。ほどよい硬さに詰められるのは熟練の職人だけとされる、技の要る具材です。三角形の焼き餅をスープに浸しながら食べるのが地元流です。
ここから先は、中国語の資料とレシピを比較し、日本で手に入る材料で再現できるように組み立てた配合と手順を公開します。
本場の配合
材料(3人分)
羊もつ・スープ
羊油辣子(羊脂の辣油)
- 羊の脂身(ラムの背脂など)60g
- 辣椒面(粉唐辛子・中挽き)10g
仕上げ
- 羊もつを煮たスープ900ml
- じゃがいも春雨(土豆粉条・乾燥)60g
- 春雨を戻すぬるま湯600ml
- 生姜(みじん切り)5g
- にんにく(みじん切り)5g
- 塩12g(小さじ2強)
- 葉にんにく(小口切り)20g
- 香菜(ざく切り)10g
- 青ねぎ(小口切り)10g
作り方
【下ゆで】胃袋・ハツ・レバー・ラム肉を流水でよく洗う。鍋に下ゆで用の水1500mlとともに入れて強火にかけ、沸騰したら3分ゆでてアクと血を抜き、ざるに上げて洗う。
【スープをとる】鍋に煮込み用の水1800ml、胃袋・ハツ・ラム肉、生姜、長ねぎ、花椒を入れて強火にかける。沸騰したらアクを取り、ふたをずらして弱火で1時間半煮る。レバーは固くなりやすいので、最後の20分で加える。
もつと肉を取り出し、スープはざるでこして900ml取り分ける(足りなければ湯を足す)。もつと肉は粗熱を取り、胃袋は5mm幅の細切り、ハツ・レバー・ラム肉は5mm厚さの薄切りにしてから細切りにする。
【羊油辣子】羊の脂身を1cm角に刻み、小鍋で弱火にかけて5〜6分、脂を溶かし出す。カリカリになった脂かすを取り除き(約40mlの脂が取れる)、火を止めて30秒おいてから辣椒面を加え、焦がさないように混ぜて赤い油にする。
春雨はぬるま湯600mlに20分浸して戻し、水気を切る。
【仕上げ】鍋にスープ900mlを入れて強火で沸かし、生姜・にんにくのみじん切り、細切りにしたもつと肉、春雨、塩12gを加えて中火で3分煮る。羊油辣子の半量を加えて混ぜる。
器に盛り、葉にんにく・香菜・青ねぎを散らし、残りの羊油辣子を表面に回しかける。
本場と日本の違い
- 清真の料理であること:羊雑砕は回族の料理文化に根ざした清真(ハラール)料理。豚肉や豚脂は使わず、今回参照した寧夏のレシピでは料理酒も使っていない。辣油も羊の脂で作るのが基本で、この「羊油辣子」の香りが味の決め手とされる。
- 面肺子:寧夏の羊雑砕には、羊の肺にでん粉の汁を詰めてゆでた面肺子が欠かせない。日本では羊の肺がほぼ流通していないため、今回は省き、じゃがいも春雨で食べごたえを補った(春雨を入れる食べ方も寧夏のレシピに見られる)。
- スープは「もつを煮た汁」で:寧夏では、別にとった羊肉スープではなく、もつを煮た原汁(原湯)で温め直すのがよいとされる。もつのうま味が溶け出したスープが、そのまま料理の味になる。
- 多彩なもつ:本場では羊の頭の肉、蹄、腸、肺なども入る。日本では羊の内臓の流通が限られるため、手に入りやすい胃袋・ハツ・レバーとラム肉を組み合わせた。
参考ページ(写真)
美食天下の「羊杂碎」レシピページに、もつの切り方から羊油辣子を加える仕上げまでの手順写真が掲載されています。
(https://m.meishichina.com/recipe/523047/)
代用可能な食材
- 羊の胃袋・ハツ・レバー:ハラール食材店や中華食材店、通販で冷凍品が手に入る。入手できない場合は、羊肉だけで作るか、牛のセンマイ(ボイル済み)やハチノスで胃袋の食感を補う
- 羊の脂身:ラム肉の脂身部分を切り取って使う。手に入らなければ、サラダ油40mlを熱して辣椒面にかけ、羊油辣子の代わりにする(香りは穏やかになる)
- じゃがいも春雨:日本の春雨(でん粉製)で代用可
- 葉にんにく:青ねぎの青い部分またはニラで代用可
- 面肺子:家庭での再現は難しい。もちもちした食感を足したい場合は、生麩を細切りにして仕上げに加えるのも一案
保存・アレンジのコツ
- 細切りにしたもつとスープは別々に保存すれば、冷蔵で2日、冷凍で1ヶ月もつ。食べる分だけスープを温めて、もつを入れて3分煮るだけで朝食に出せる
- 羊油辣子は冷えると固まるが、多めに作って冷蔵しておけば1週間ほど使える。羊肉の麺や焼き羊肉のたれにも合う
- 寧夏では、焼き餅(パン)をちぎってスープに浸して食べる。日本ではナンや薄焼きのパンを添えるとよく合う
出典
本文は上記の情報源を参考に、独自に再構成・翻訳したものです。