雲南料理・滇菜鲜花饼

鮮花餅(雲南バラ餅)レシピ本場雲南の配合を徹底解説

皿に盛った渦巻き模様の鮮花餅と、割って赤紫のバラ餡が見える断面、散らした花びらを描いたイラスト
地域
滇菜(雲南)
分量
10個分
公開

この記事はAmazonアソシエイトのリンクを含みます。

花を「具」にして焼き上げるお菓子がある。雲南の土産物の定番、鮮花餅だ。食用バラの花びらを砂糖でもみ込んで漬けた「玫瑰醤(バラ餡)」を、ラードで作る層状のパイ生地で包んで焼く。ひと口かじると、さくさくと崩れる皮の中から、バラの香りがふわりと立ちのぼる。

起源には諸説ある。百度百科の内容を収録した事典サイトは、300年以上前の清代にある菓子職人が作り出したものとし、清末の北京の歳時記『燕京歳時記』にも「四月にバラの花で作るものを玫瑰餅という」との記述が見える。一方、昆明日報は、光緒5年(1879年)に昆明の老舗「合香楼」の初代で、宮廷の菓子職人だったとされる胡増貴が製法を創ったという店の伝承を紹介し、中国外文局の文化サイトも「清代後期の起源で100年余りの歴史」としている。さらに、献上品として宮廷に入ったバラ餅を乾隆帝がいたく気に入り、「今後、祭祀用の菓子はバラ餅にしてよい。いちいち上奏しなくてよい」と命じたという逸話も語り継がれているが、これは伝承として紹介されているものだ。

なぜ雲南なのか。「植物王国」「花の国」と呼ばれる雲南は花の一大産地で、春のように穏やかな気候と豊富な日照に恵まれ、食用バラの品質も最上とされる。本場では、朝露をまとった花を早朝に摘み取るほど鮮度にこだわるという。

ここから先は、中国語の複数レシピを比較して割り出した生地と餡の配合、日本での食用バラ・ローズジャムの選び方を公開する。

本場の配合

材料(10個分)

水油皮(外側の生地)

油酥(内側の生地)

バラ餡

  • 玫瑰醤(食用バラの砂糖漬け)250g
  • もち粉(から炒りしたもの)40g
  • サラダ油10ml

仕上げ

  • 卵黄1個分
  • 水(卵黄を溶く用)5ml

作り方

  1. バラ餡を作る:もち粉40gをフライパンに入れ、弱火で5分、ほんのり色づくまでから炒りして冷ます。玫瑰醤・サラダ油10mlと混ぜ合わせ、10等分(約30g)に丸めて冷蔵庫で30分冷やす。

  2. 水油皮:ボウルに熱湯70mlとラード45g・砂糖15gを入れて溶かし混ぜ、中力粉を加えてなめらかになるまで5分こねる。ラップで包み、室温で30分休ませる。

  3. 油酥:薄力粉100gとラード50gを手ですり混ぜ、ひとまとめにする。

  4. 水油皮・油酥をそれぞれ10等分(水油皮約28g、油酥約15g)にする。水油皮を手のひらで平らにして油酥を1個のせて包み、とじ目を下にする。

  5. めん棒で縦長の楕円(約12cm)にのばし、手前からくるくると巻く。ラップをかけて10分休ませる。巻き終わりを上にして再び縦長にのばして巻き、さらに10分休ませる。

  6. 生地の渦巻きの中心を指で押してつぶし、直径9cmの円形にのばす。バラ餡を1個のせて包み、とじ目を下にして手のひらで軽く押さえ、厚さ1.5cmの円盤形に整える。

  7. オーブンを180℃に予熱する。天板にオーブンシートを敷いて並べ、表面に水5mlで溶いた卵黄を塗り、竹串で2〜3か所穴をあける(焼成中に餡が噴き出すのを防ぐ)。

  8. 180℃のオーブンで25分、皮がふくらんで縁がうっすら色づくまで焼く。網の上で冷ます。

本場と日本の違い

  • 花そのものを食べる:日本にも桜餅や桜あんぱんのように花の香りを生かしたお菓子はあるが、塩漬けの花を添えるものが中心。鮮花餅は花びらを砂糖とともに発酵・熟成させた餡がたっぷり入り、花そのものを「食べる」感覚が強い。
  • 生地は中華パイの二層構造:水・油・粉で作る「水油皮」で、油と粉だけの「油酥」を包んで折り込むのは、月餅の蘇式や台湾の太陽餅などとも共通する中華の酥皮(パイ生地)の基本技法。バターではなくラードを使うことで、軽くほろほろと崩れる食感になる。
  • 餡の甘さと香り:本場の手作り品は花と砂糖の比率が1:1以上とされ、甘さはしっかりめ。昆明の老舗の品では、50gの1個のうち約4割が餡、花びらだけで約27%を占めるという。日本で市販される「バラの香りのお菓子」は香料で香りをつけたものが多いが、鮮花餅は花びらの繊維感が残る餡そのものが香りの源になっている。

参考ページ(写真)

下厨房の「雲南玫瑰鮮花餅」レシピページに、バラ餡の仕込みから生地の包み方、焼き上がりまでの手順写真が掲載されています。

(https://m.xiachufang.com/recipe/106819217/)

代用可能な食材

  • 玫瑰醤:中華食材店や通販で「玫瑰醤」「玫瑰花醤」「玫瑰鮮花醤」の名で雲南産の瓶詰・袋詰が手に入る。入手できない場合は、ブルガリアやトルコ産の花びら入りローズジャム(ローズペタルジャム)で代用可。水分が多いものは、もち粉を50gに増やして餡を締める
  • 自家製の玫瑰醤:無農薬の食用バラ(エディブルフラワー)の花びら200gに砂糖200g・レモン汁5mlを加え、砂糖が溶けるまで手でよくもみ込む。瓶に詰めて冷蔵庫で3日以上寝かせてから使う。観賞用のバラは農薬が使われているため絶対に使わない
  • ラード:無塩バターで代用可(より香ばしい仕上がりになる。事典の解説にも、酥皮にバターを使う製法が紹介されている)
  • 中力粉:薄力粉と強力粉を半量ずつ混ぜたもので代用可

保存・アレンジのコツ

  • 完全に冷めてから1個ずつラップで包み、密閉容器で常温3日、冷凍で1ヶ月保存可能。食べる前にオーブントースターで3分温めると、皮のさくさく感が戻る
  • 餡に刻んだ炒りピーナッツ20gを混ぜると、香ばしさと食感のアクセントが加わる(雲南版をうたう中国のレシピにも見られる配合)

出典

本文は上記の情報源を参考に、独自に再構成・翻訳したものです。