雲南料理・滇菜大救驾

大救駕(騰衝炒餌塊)レシピ本場雲南・騰衝の配合を徹底解説

ひし形の餌塊にハム、肉、トマト、卵、青菜を炒め合わせた大救駕のイラスト
地域
滇菜(雲南・騰衝)
分量
2人分
公開

この記事はAmazonアソシエイトのリンクを含みます。

「皇帝の危機を救った」という大げさな名前の料理がある。ミャンマー国境に近い雲南省西部・騰衝の名物「大救駕(ダージウジア)」だ。正体は、うるち米でつくる雲南の餅「餌塊(アルクァイ)」を薄切りにして、ハムや肉、野菜と炒め合わせた炒餌塊である。

名前の由来は明朝の末期にさかのぼる。網易の記事によれば、清の初め、呉三桂が清軍を率いて昆明に攻め込むと、南明最後の皇帝・永暦帝は雲南西部へと逃れた。新浪新聞の記事は、苦しい逃避行の末に騰衝の町にたどり着いた皇帝一行が、ある民家に食べ物を求めたところ、主人が餌塊を炒めて差し出したと伝える。空腹の皇帝はこれを平らげ、「これぞ朕を救った大いなる一皿だ」と称えた——それ以来、騰衝の炒餌塊は「大救駕」と呼ばれるようになったという。あくまで伝承だが、騰衝の人々が今も誇らしげに語る物語である。

主役の餌塊は、うるち米を洗って浸し、蒸してから搗き、こねて成形したもの。騰衝産、とくに町の東の郊外・胡家湾のものが名高く、「柔らかいのにコシがあり、長く煮ても溶けない」と評される。これを薄切りにして、火腿(雲南ハム)、酸腌菜、ねぎ、ニラ、えんどうの若芽などと炒め、甘い醤油と塩辛い醤油をかけ、油辣椒を少し絡めて仕上げる。

ここから先は、中国語の複数レシピを比較して割り出した、家庭で作れる本場の配合と手順を公開する。

本場の配合

材料(2人分)

  • 餌塊(雲南のうるち米の餅)300g
  • 火腿(雲南ハム)50g
  • 豚肩ロース薄切り肉80g
  • 卵1個
  • トマト小1個(100g)
  • 酸腌菜(雲南の酸っぱい漬物。刻む)30g
  • 長ねぎ(3cm長さ)30g
  • 豌豆尖(えんどうの若芽)50g
  • 水30ml
  • 甜醤油(雲南の甘い醤油)15ml
  • 醤油10ml
  • 油辣椒(雲南式の唐辛子油)10ml
  • サラダ油30ml

作り方

  1. 餌塊は表面を少し乾かしてから3mm厚さに切り、3cm角のひし形に切る。火腿も餌塊と同じくらいの大きさの薄切りにする。豚肉は3cm幅に切る。トマトは1.5cm角に切る。

  2. 卵を溶き、フライパンにサラダ油15mlを中火で熱して大きく混ぜ、半熟で取り出す。

  3. 同じフライパンを弱火にかけ、油をひかずに火腿を入れてゆっくり炒め、脂を出す。豚肉を加え、中火で色が変わるまで炒める。

  4. 残りのサラダ油15mlを足し、餌塊を加えて中火で3〜4分炒める。焦げつきそうなら火を弱め、餌塊が柔らかくなり、ところどころに焼き色がつくまで炒める。

  5. トマト・酸腌菜・長ねぎを加えて水30mlを注ぎ、甜醤油15ml・醤油10mlを回し入れる。全体が均一に色づくまで1分炒める。

  6. 2の卵を戻し入れ、豌豆尖を加えて30秒炒め合わせる。

  7. 器に盛り、油辣椒10mlを回しかける。

本場と日本の違い

  • 日本の餅はもち米を搗いたもので、炒めると溶けて鍋にくっつくが、餌塊はうるち米を蒸して搗いたもの。炒めても形が崩れず、もっちりとした弾力と歯切れのよさが残る。食感は日本の餅より韓国のトック(うるち米の餅)に近い。
  • 味の決め手は、甘い醤油(甜醤油)と塩辛い醤油(咸醤油)の二本立て。甘じょっぱい味にトマトと酸腌菜の酸味、火腿の塩気とうま味が重なり、油辣椒の辛みで締める。日本の焼き餅や炒め物にはない組み合わせだ。
  • 本場の具は店や家庭によってさまざまで、火腿のほかに豚肉、卵、しいたけ、にんじん、青菜などを入れる。ハムの脂で餌塊を炒めるのが、香りを出すコツとされる。
  • 辛みの付け方も一つではない。仕上げに油辣椒をかけるほか、糟辣椒(生の唐辛子の発酵調味料)や乾燥唐辛子を具と一緒に炒める作り方もある。2018年には「雲南十大名菜」の筆頭に選ばれ、騰衝を訪れる観光客の必食メニューにもなっている。

参考ページ(写真)

網易の「腾冲“大救驾”,云南得之不易的名菜」の記事に、ひし形に切った餌塊を具材と炒めた大救駕の写真が掲載されています。

(https://www.163.com/dy/article/FI5DS0LO0548K1Y4.html)

代用可能な食材

  • 餌塊:韓国食材店やスーパーで手に入るトック(韓国の餅)300gで代用できる。斜め薄切りのものならそのまま使える。
  • 火腿:生ハムやベーコン50gで代用可。ベーコンの場合は脂が多いので、手順4のサラダ油を5ml減らす。
  • 酸腌菜:高菜漬けを刻んだもの30gで代用できる。
  • 甜醤油:醤油15mlに砂糖8gを溶かしたもので代用可。
  • 豌豆尖:豆苗50gで代用する。ほうれん草や小松菜でもよい。
  • 油辣椒:ラー油10mlに粉唐辛子1gを混ぜたもので代用可。

保存・アレンジのコツ

  • 炒めた大救駕は時間がたつと餌塊が硬くなるので、作りたてを食べきる。餌塊(トック)は切ってから冷凍しておけば、凍ったまま手順4で使える。
  • 雲南では、餌塊を細切りにした「餌絲」もよく食べる。細切りにしてスープで煮れば、朝食向けの汁麺風になる。

出典

本文は上記の情報源を参考に、独自に再構成・翻訳したものです。