雲南料理・滇菜菠萝饭

菠蘿飯(菠萝饭/パイナップルご飯)レシピ本場雲南・西双版納の配合を徹底解説

くり抜いたパイナップルの器に、えんどう豆やしいたけ、果肉の角切りを混ぜたご飯を詰めた菠蘿飯のイラスト
地域
滇菜
分量
2人分
公開

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パイナップルを丸ごとくり抜いた器から、湯気の立つご飯が現れる——見た目のインパクトだけで注目される菠蘿飯だが、これは観光地向けの演出料理ではない。雲南省最南端、西双版納タイ族自治州に暮らす傣族(タイ族)の、れっきとした家庭料理である。

中国語の資料はこの料理を「既是饭,又是菜,还是水果(ご飯であり、おかずであり、果物でもある)」と表現する。器になった皮の内側から果汁がしみ出し、蒸されるあいだに米一粒一粒へ酸味と甘みが移る。刻んだ果肉はそのまま具になり、食べ終われば器は捨てるだけ。熱帯の果物が豊富に採れる土地で、容器と食材と調味を一つの素材でまかなう——徹底して合理的な発想から生まれた一皿だ。

もう一つの鍵が米である。傣族の主食は米だが、なかでも西双版納の傣族はもち米(糯米)をことのほか好む。竹筒に詰めて焼く竹筒飯、色を染めた五色のもち米、そして菠蘿飯。いずれも「蒸したもち米」が土台にある。傣族はタイやラオスのタイ系民族と同じ系統に属する民族で、もち米を主食とし、果物と組み合わせて甘く仕上げる食べ方は、国境の南側の食文化ともまっすぐつながっている。タイの定番デザート「カオニャオ・マムアン(マンゴーもち米)」と菠蘿飯が兄弟のように似ているのは、偶然ではない。

ここから先は、中国語の複数レシピを比較して割り出した、本場の分量と手順を公開する。

本場式の配合

材料(2人分)

  • パイナップル(葉付きの丸ごと)約1000g/うち果肉200gを使用1個
  • 糯米(もち米)200g
  • 糯米の浸水用の水600ml
  • パイナップル果汁+水(合わせて)150ml
  • 白砂糖10g(大さじ1強)
  • 干しぶどう20g
  • 枸杞(クコの実)5g
  • 枸杞の戻し用のぬるま湯50ml

作り方

  1. 糯米200gを2〜3回研ぎ、水600mlに7〜8時間(前夜から一晩でもよい)浸す。ざるにあげて10分ほど水気を切る。この浸水時間が短いと芯が残るため、必ず7時間以上とる。

  2. パイナップルは葉を付けたまま縦に置き、側面の上から1/5ほどの位置で包丁を入れて切り落とし、この一片を「ふた」として取っておく。

  3. 果肉を、底と側面に1.5cmほどの厚みを残しながらスプーンとナイフでくり抜く。器に穴を開けないよう注意する。くり抜いた果肉から200gを1.5cm角に切り、残りの果肉と器の内側に溜まった果汁を茶こしで絞り、水を足して合計150mlにする。

  4. 枸杞5gはぬるま湯50mlに5分浸して戻し、水気を切る。

  5. ボウルに、水気を切った糯米、角切り果肉200gのうち150g、干しぶどう20g、戻した枸杞、白砂糖10gを入れ、しゃもじで底から返すように混ぜ合わせる。

  6. 5をパイナップルの器に八分目まで詰める(詰めすぎると蒸している間に膨らんで溢れる)。3の果汁+水150mlを米が浸るまで静かに注ぎ、2で取っておいたふたをかぶせる。

  7. 蒸し器の湯をしっかり沸騰させ、パイナップルを入れて強火で5分、その後中弱火に落として40分蒸す。竹串を刺してすっと通り、米粒に芯がなければ蒸し上がり。

  8. 蒸し器から取り出してふたを開け、残しておいた角切り果肉50gを散らす。器ごと食卓に出し、スプーンですくって食べる。

本場と日本の違い

  • 日本でパイナップルご飯といえば、カレー粉で色を付けた「パイナップル炒飯」を思い浮かべる人が多い。あれはタイのカオパッ・サパロットの流れをくむ炒め物で、うるち米を炒めて器に盛ったもの。西双版納の菠蘿飯は炒めない。もち米を果汁ごと蒸し上げる、まったく別系統の料理である。エビもカシューナッツもカレー粉も入らない。
  • 傣族の主食がもち米であることが、この料理の輪郭を決めている。うるち米で作るとただの「パイナップル入りご飯」になり、果汁を吸ってねっとりまとまるあの食感が出ない。
  • 中国の家庭レシピでは、糯米と大米(うるち米)を半々にして炊飯器で炊いてから器に詰め、15〜20分だけ蒸すという時短版も広く作られている。もち米100%を生の状態から40分蒸す本稿の手順が、より伝統的な作り方に近い。
  • 西双版納では紫米(黒もち米)を混ぜた紫米菠蘿飯も定番で、蒸し上がると全体が鮮やかな紫色に染まる。屋台や食堂ではこちらのほうがよく見かける。

参考ページ(写真)

下厨房の「菠萝饭」レシピページ(閲覧35万件超、保存1.8万件)に、パイナップルのくり抜き方から詰め方までの手順写真が掲載されています。 https://m.xiachufang.com/recipe/238242/

代用可能な食材

  • パイナップル1個→器にできる大きさのものが手に入らない場合は、カットパイナップル250gと耐熱の丼で代用する(果汁が足りない分は100%パイナップルジュース150mlで補う)
  • 糯米→日本のもち米で問題なく作れる。うるち米で代用すると食感がまったく別物になるため置き換えは避ける
  • 干しぶどう→ドライクランベリー20g、または蜜煮小豆30g
  • 枸杞→ドライクランベリー5g
  • 白砂糖→きび砂糖10g、はちみつ12g

保存・アレンジのコツ

  • 蒸し上がったものは器ごとラップをかけ、冷蔵で翌日まで保存できる。温め直しは蒸し器で10分が最もふっくら戻る。
  • ご飯部分だけを1食分ずつラップで包んで冷凍すれば2週間保存可能。電子レンジ600Wで2分加熱する。
  • 果汁+水150mlのうち50mlをココナッツミルク50mlに置き換えると、東南アジアのもち米デザートに近い濃厚な仕上がりになる。
  • 糯米200gのうち50gを紫米(黒もち米)50gに置き換えると、西双版納の屋台で人気の紫米菠蘿飯になる。紫米は色が出るため、浸水は他の米と分けて行う。
  • 蒸し上げた直後より、5分ほど置いて果汁が全体に回ってからのほうが味がまとまる。

出典

本文は上記の情報源を参考に、独自に再構成・翻訳したものです。