フィリピン中華(チノイ料理)Pancit Canton

パンシット・カントンレシピフィリピン中華の配合を徹底解説

黄色い麺にえび、腊腸、肉、野菜を炒め合わせ、カラマンシーを添えたパンシット・カントンのイラスト
地域
フィリピン中華(チノイ料理)
分量
4人分
公開

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フィリピンの誕生日パーティーに欠かせないのが「パンシット(pancit)」。フィリピン語で麺料理全般を指す言葉で、長い麺は長寿の象徴とされます。この縁起かつぎは中国系フィリピン人(チノイ)の習慣から広まったものです。

語源は、フィリピンの福建語(ホッケン語)とされますが、元の言葉には諸説あります。英語版ウィキペディアは「扁食(pán-si̍t、ワンタン麺)」説と「便的食(piân-ê-si̍t、手軽な食べ物)」説の2つを挙げています。フィリピン紙フィルスターのコラムも、医療人類学者マイケル・L・タン氏の説として「調理済みの食べ物」を意味する福建語「pien sit」を紹介しています。

フィリピンの華人の多くは福建省南部の出身で、中国との交易は宋の時代にさかのぼるといいます。現地メディアのペッパーは、スペイン統治時代には中国系の行商人がたばこ工場で働く女性たちにパンシットを売り歩き、やがて屋根のある店「パンシテリア」を構えたと伝えています。マニラ・ビノンドの老舗「トー・ホー・パンシテリア・アンティグア」は、フィリピン最古の店を名乗っています。

パンシット・カントンは小麦の卵麺を使う炒め麺で、「カントン」は広東のことです。ただしペッパーは、この料理は広東とは無関係で、名前の由来ははっきりしないとしています。

ここから先は、フィリピンの複数のレシピを比較して割り出した、フィリピン式の配合と手順を解説します。

フィリピン式の配合

材料(4人分)

麺と具

  • パンシット・カントン用の乾麺または乾燥中華麺・細めの卵麺250g
  • 豚肩ロース薄切り(細切り)120g
  • むきえび(背わたを取る)8尾(120g)
  • 腊腸中華ソーセージ。斜め薄切り1本(50g)
  • 玉ねぎ(薄切り)1/2個(100g)
  • にんにく(みじん切り)2片(6g)
  • にんじん(細切り)60g
  • キャベツ(1cm幅に切る)200g
  • さやえんどう(筋を取る)10枚(30g)
  • セロリの葉と細い茎(ざく切り)20g
  • サラダ油大さじ2(30ml)

スープ・調味料

  • 鶏がらスープ水500ml+鶏がらスープの素3g500ml
  • 醤油大さじ2(30ml)
  • オイスターソース大さじ1(18g)
  • 黒こしょう0.5g(小さじ1/4)

添え

作り方

  1. 大きめのフライパン(または中華鍋)にサラダ油大さじ1(15ml)を中火で熱し、えびを2分炒めて色が変わったら取り出す。続けて腊腸を1分炒めて取り出す。

  2. 残りのサラダ油大さじ1(15ml)を足し、玉ねぎとにんにくを1分炒める。豚肉を加えて2分、色が変わるまで炒める。

  3. 醤油大さじ2・オイスターソース大さじ1を加えて全体にからめ、鶏がらスープ500mlを注ぐ。煮立ったらアクを取り、弱めの中火で5分煮る。

  4. にんじんを入れて1分、キャベツ・さやえんどう・セロリを入れて1分煮る。

  5. 麺を加え、トングや菜箸で麺をほぐしながら3〜4分、スープを吸わせる。麺が折れないよう、持ち上げて返すように混ぜる。

  6. 汁気がほぼなくなったら、えびと腊腸を戻し入れ、黒こしょうを振って1分炒め合わせる。

  7. 大皿に盛り、半分に切ったカラマンシーを添える。食べるときに果汁を搾ってかける。

中国本土の原型との違い・フィリピンならではの特徴

  • 「煮て吸わせる」炒め麺:中国や日本の焼きそばは、ゆでた麺を強火で炒めるのが一般的。パンシット・カントンは乾麺を具とスープの中に直接入れ、汁を吸わせながら仕上げるので、麺そのものにしっかり味が入る。
  • カラマンシーを搾る:フィリピンの小さな柑橘カラマンシーを搾って酸味を足すのがお決まり。中国の炒め麺にはない、爽やかな後味になる。
  • 具だくさんの「お祝いの麺」:豚肉・えび・中華ソーセージ・鶏肉・魚のすり身団子など、何種類もの具を合わせるのがフィリピン流。誕生日やクリスマスに大皿で出し、長寿の願いを込めて麺は切らずに食べる。
  • 「カントン」でも広東料理ではない:名前に広東(Canton)が入っているが、フィリピンの料理メディアは広東とのつながりを否定しており、名前の由来ははっきりしない。フィリピンの華人の大半は福建南部の出身で、パンシットという言葉も福建語から来ている。
  • 日本の焼きそばとの違い:ソースではなく醤油とオイスターソースの塩気が中心で、甘みは控えめ。キャベツ・にんじんなど具の顔ぶれは日本の焼きそばに近いので、日本人にもなじみやすい味。

参考ページ(写真)

Kawaling Pinoy(フィリピンのレシピサイト)のパンシット・カントンのレシピページに、手順写真と仕上がりの写真が掲載されています。

(https://www.kawalingpinoy.com/pancit-canton/)

代用可能な食材

  • パンシット・カントン用の乾麺:輸入食材店や通販で手に入る。なければ乾燥中華麺(細めの卵麺)で代用可。蒸し麺の焼きそば麺を使う場合は、スープを250mlに減らし、麺を入れてからの時間を2分にする。手軽に試すなら、フィリピン定番のインスタント麺パンシット・カントンの麺を使ってもよい(付属のたれは使わず、このレシピのたれで仕上げる)
  • 腊腸(中華ソーセージ):なければ省くか、ベーコン40gで代用可(甘みは控えめになる)
  • セロリの葉:フィリピンではキンチャイ(中国セロリ)を使う。セロリの葉がなければパセリ10gで代用可
  • カラマンシー:すだち・かぼす・レモンのくし切りで代用可

保存・アレンジのコツ

  • 冷蔵で3日保存できる。冷凍すると麺の食感が落ちるので向かない。温め直すときは水大さじ1を振って電子レンジで2〜3分温める
  • 鶏むね肉(100g)の細切りや魚のすり身団子(100g)を足すと、フィリピンのパーティー向けの具だくさん版になる
  • 麺を米粉の麺(ビーフン)に替えると、フィリピンでは「パンシット・ビホン」と呼ばれる別の種類のパンシットになる

出典

本文は上記の情報源を参考に、独自に再構成・翻訳したものです。